【No.1460】親の熱量 子の熱量

スポーツ少年団でもそうですし、ピアノなどの習い事もそうですが、「親の熱量が子どもを上回ってはダメ」というのがありますね。
時々、公園などで親御さんのほうが向きになってスポーツを教えている場面を見かけます。
最初は好きで始めたスポーツや習い事も、いつしかやるべき“作業”になったり、親御さんの機嫌をと取るための“手段”になったりする。


いろんなアスリート、一芸に秀でた子を育てた家族の調査研究では、やっぱりそのものが「好き」「楽しい」という子どもの気持ちを阻害しないような配慮と環境があったことがわかりましたね。
だからこそ、子どもの「好き」を親御さんの熱量が上回ってはならないのです。
ちなみに中学、高校年代くらいになると、指導者の熱量が移ることもあるため、一概に成長を阻害するとはいえないようです。
それでも、そのものが好きで続けている子には敵わないようですが。


これは子どもに共通する特徴であり、子どもらしい発達の仕方だといえます。
発達相談でいろんなご家庭と関わりますが、「この子を発達させてやるんだ」という熱量が高くなると、あまり良い結果がでません(笑)
時々、目やテレパシーで私に「うちの親、どうにかしてくださいよ、大久保さん」と訴えてくる子もいます(笑)
一時期話題にもなりましたが、「はい、ハイハイ、5往復!」「はい、揺れる動き、左右で50回!」「はい、トランポリン、3分連続!」というような感じ。
一方で、私がよく言っている「子どもが育てたいところ、今、育てているところを育てる」という方針のご家庭は伸び始めたら一気に伸びるといった感じです。


このポイントは「意識」だと考えています。
対象の刺激に意識が向いているとき、意識が集中しているとき、強い電気信号が神経に流れます。
子どもの様子でいうと、そのモノ以外目に入っていない状態です。
子どもの発達の仕方の特徴として「繰り返す」「没頭する」があります。
とにかく(私たちから見れば意味が分からなくても)その行動を繰り返す。
ご飯やほかの活動があったとしても、お構いなしに没頭している。
「時間を忘れて」がまさにその状態です。


子どもが繰り返し行っている動作に対して、「自閉症の特性」「常同運動」「こだわり」などと捉えられてしまう場合があります。
そうすると、それは止める対象になり、注意を別のモノへと移そうとします。
これは私が学生時代から教えられていた支援マニュアルの一つです。
ですが、これをやってしまうと、本人が育てようと求めている刺激から遠ざけてしまうこともあります。
不安などから行っている繰り返しの行動もあれば、発達を促そうと刺激を求めている行動もあるのです。
ですから、「もしかしたら、この子はこれを育てようとしているのでは?」という視点を持つことが重要になります。


令和8年になりましたが、現場レベルで行われている支援、ギョーカイを牽引している支援者たちの教えていることは私が学生時代とほぼ変わっていません。
繰り返し行動は常同運動であり、こだわりであり、止めるべき対象になります。
しかし子どもの発達からみれば、繰り返して刺激を求めているとき、その子の神経ネットワークが構築されているのです。
やっぱり“育てる”という視点が足りないと思います。
“育てる”という視点を持っていたとしても、それは“発達障害児の”であって、定型発達の育ちとは別個のものになっているようです。


親心としては一つでも多く、そして早く発達の課題を育てたいと思う。
でも、子どもの意識と一致していない場合もあります。
支援者としては、私が得意な、そして一番問題だと思う点を育てたいと考える。
でも、そこを今、子どもは育てたいと思っていない場合もあります。
ましてや、年度初めに立てた目標が本人のそれと一致している可能性はかなり低い。
療育機関に行っても効果が期待できないのは、子どもの特徴である没頭による意識の集中と、システム化された決められたメニュー、訓練という形態の不一致も大きいと思います。


好きを仕事にできる人は少ないかもしれません。
でも、好きを発達につなげることはどの子にもできます。
新年度が始まり、「目標、目標」と言われる時期ではありますが、日々の子どもの様子、変化に注目しながら柔軟に、そして本人に委ねていくといった視点も大事じゃないかなと思います。
いま、あなたのお子さんは、なにを意識し、なにを育てたがっていますか?




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