【No.1161】一次情報を二次情報へ

私の子ども時代は、毎日アニメ番組がやっていたし、「かとちゃんけんちゃん」や「ものまね王座歌合戦」「スターどっきりマル秘王国」などのバラエティ番組が面白かった。
私と弟がそんなテレビを観て馬鹿笑いしていると、決まって親が「こんなくだらないテレビばっかり観てから」と小言を言っていた。
だから今、実家に帰ると、私は「こんなくだらないテレビばかり観てから」と叱っています(笑)


私があれこれコロナについて指摘すると、「私だって、いろいろ調べて勉強している」と反撃をしてきます。
だけれども、「何で勉強しているの?」と尋ねると、テレビに出てくる専門家の解説を聴いて勉強しているという…。
だから私は決まって「スイッチ押したらタダで見れるもんで、勉強なんかできるもんか」と突っ込むのです。
どうして昭和の大人たちは、テレビがためになる情報をタダで教えてくれると思うのでしょうか。
どうして昭和の大人たちは、NHKはいつも正しいと信じているのでしょうか。
どうして昭和の大人たちは、最後には「みんなも言っている」といい、その内訳は仲の良いお茶友の3人くらいなのでしょうか。
「だって、〇〇さんも、お医者さんがそういっていたって言っていたもん」というけれども、その〇〇さんも同じ朝のワイドショー観てるんだから、結局一緒でしょうよ。


現代社会は無料の情報で溢れています。
そういう私のこのブログも、ラジオ配信も、すべて無料です。
だからテレビと同じように、勉強するものではないと思っています。
あくまで、読んだり、聴いたりしてくださる方たちにとっては考えるきっかけにすぎないのです。
もちろん、私が記す内容は、素晴らしい実践家の方たちから教わったことや文献等から学んだものもあります。
しかし、基本は私の実践と経験です。
できるだけ私の偏見が入らないように、生のまま、感じたままをお伝えしようとは思っていますが、どうしても私の思考が影響を与えてしまいます。


そういった私の思考がにじんでいる情報を、どのように捉え、どこに注目し、なにを活かすか、は受け手の皆さんにかかっています。
同じものを見て、同じように感じられないのが、人間なのです。
だからこそ、受け取った情報を自分の頭で精査し、考えるプロセスが重要になります。
よく「あの子がうまくいったから、うちの子も」という親御さんがいますが、それはとても危険なことです。
あの子とうちの子は、まったく別の人間。
あの子でうまくいったことが、うちの子にとっては毒になることもあるのです。
ですから、「どうしてあの子は、その方法がポジティブに働いたのだろう」と、一呼吸おいて自ら考えることが重要になります。
試行錯誤が上手な親御さんは、発想が豊かな面もありますが、実はちゃんと他人の様子を見て、どこが良いのか、悪いのか、うちの子との共通点は、活かせるところは、という視点で考えている方が多いと感じます。


「我が子のことをちゃんと見ましょう」と訴える支援者は多いし、私もその一人です。
だけれども、それは「我が子だけを見る(他人は見ない)」ではなく、我が子始まりで子育てをしていく、という意味です。
「あの子がうまくいったから、うちの子も」は、他人が始まりになっています。
一方で、「あの子がうまくいったのは、こういった点、理由においてで、それだったらうちの子にもうまくいきそう」と考えるのが、我が子始まりです。
書籍からの情報や専門家の言葉を聴いて、同時に「うちの子は…」と思い浮かんでいるのも、そうです。
常に「我が子」という軸があるからこそ、もっといえば、「私がこの子を育てるんだ」という親御さんの軸がしっかりしているからこそ、冷静に周りのことを見つつ、我が子のことをしっかり見れているのだと思います。


子育てに苦手意識を持つ親御さんが多いのもよくわかります。
だって、与えられた情報をそのまま読み、求められる答えを導き出すのは得意だけれども、一次情報から真実を見つけ、自分の考えや意見を導き出すのは苦手としているから。
なんだか「間違ってはいけない」と考えている人が多い気がします。
その「間違ってはいけない」も、科学的な真実よりも、多数派と違う方向に進んではならない、みたいな。
だから少しでも評判の、ある意味、多数派の療育、支援者に流れていく。
この世の中の多数派は、怖がりで、自分の頭で考えるのが苦手な人達ということは押さえておく必要があります。
「人気の療育機関に通えているから」は、「マスクをしているから大丈夫」というように、まったくもって科学的ではないのです。
「先進地域」「有名支援者」「早期療育」そのすべてを持っていたとしても、みなさん、自立できていないという結果が出ています。


東大の研究グループが行った実験も、密閉された水槽の中にマネキンが向かい合わせに置かれ、20分間も飛沫(コロナ入り)を浴びさせ続けて、「マスクがどのくらい防いだか」を調べています。
そんな話を親にしたら、びっくりしていました。
マスコミは都合の良い部分だけを切り取って流す。
実際、水槽のような密閉空間で、口を開けて向かい合うことがあるだろうか。
フツー、咳しそうになったら、相手の顔とは別の方向を向くだろう。
そのまま、咳を目の前にいる人に浴びせ続けないでしょ、人は。
「そんなことテレビで言っていなかった」というが、言わないのがテレビです。
「東大」「研究」「富岳」と3つのワードでイチコロだから、テレビは自らの姿勢を改めていかないのだと思います。
こんなインチキが、今も続く飲食店いじめにつながっているかと思うと、怒りを通り越して哀しくなります。


コロナ騒動のおかげで、ウィルスについて勉強することにもなりましたし、何よりも情報との向き合い方、日本人の現状、論理的な思考とは、を考えるきっかけになりました。
日本人にとって『不安』とは、科学的な真実を超える。
ということは、より良い子育て、発達援助の条件は、大人が不安に対処できている状態、不安をコントロールできている状態だといえます。
ですから私の仕事では、ギョーカイが不安を煽ることで商売をしているのと正反対の、子どもの可能性や前向きな未来を感じられるような視点とアイディアで頑張っていきたいと思います。
親御さん達も、不安を煽るような情報とは距離を置き、また手にした一次情報から自分の頭で考え活かす二次情報への作り替えを目指していただければ、と思います。
子ども達の未来が少しでも明るいものとなるように。
さあ、子ども達、若者たちは、たくさん空気を吸い、たくさん遊び、たくさん学んでください。
その環境を用意するのが、大人たちの役目です。




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