感覚面の課題へ直接的なアプローチ、間接的なアプローチ

「ティーチだって感覚過敏にアプローチする!」と言う人がいます。
確かに、感覚面の課題は自閉症の人達に多く見られることですし、生活の質や心身の問題と関係するところなので、大事な支援の一つとして位置づけられています。
ですから、「感覚過敏にアプローチする」というのは間違えではない。
でも、直接的なアプローチではないですよね。
間接的なアプローチで、少しでも軽減されることを目指しているのが実態だと感じます。


大雑把に言えばこうです。
感覚過敏は、本人が不安やストレスを感じている場面で症状が強くなる。
だから、視覚支援や環境を整えることで、本人の不安やストレスを減らし、その結果として症状が軽くなることを目指す、です。
本人が持つ感覚の課題を変えるのではなく、環境を変えるアプローチ。
当然、不安やストレスの原因は環境面だけの問題ということはありませんので、環境を変えることが、必ずしも本人の不安やストレスを軽減させるとは言えません。


見通しが持てたり、周囲の情報が整理され、理解できたりすることで、一時的に感覚過敏が収まったように見えます。
それを見て、「視覚支援、構造化が、感覚過敏にも有効だ」なんて思う人もいる。
しかし、環境などの本人の周囲を変えただけで、本人は変わっていなし、本人の持つ課題をどうにかしようとアプローチはしていないから、どこまでいっても感覚面の課題は治らない、持ち続けたまま。
本人が感覚面で苦しまないようにするには、ずっと環境を調整し続けないといけません。
ほら、環境調整だけの支援を受けている子は、ずっと感覚過敏を持ち続けているでしょ。


私は、常々言っています。
「環境調整には限界がある。だからこそ、身体を通して、発達のヌケを育て直しましょう」と。
耳栓も、イヤーマフも、視覚支援、構造化と同じ。
一時的な助けにはなるけれども、ずっと使い続けるには不便なもの。
できることなら、使わずに生活できた方が本人はラクだし、選択肢も増える。


相変わらずティーチ信者の多い当地。
「感覚過敏だって、良くなっているから!」と言われるが、良くなっているように見えるだけ、しかも一時的に。
視覚支援、構造化によって、感覚過敏が落ち着き、喜んでいるのは周囲の大人と支援者じゃないかな。
「ほら、見ろ、ティーチサイコー!私の支援サイコー」と言いたいだけにも見えますね。


私は、感覚過敏に苦しむ子ども達をそばで見てきましたし、本人たちの口からも「とても辛いもの」だと聞いています。
だからこそ、一番に「治したい」という想いが出ますし、本人に直接的なアプローチができる方法を選択しています。

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