グレーにしたあと、彼らは子ども達の人生を何色にしてきたのだろう

昨日、ブログで書いた「グレー」という文字を見て、この言葉はあこぎな商売の、あこぎな言葉だと改めて思いましたね。
だって、支援対象を増やしたいがために作りだされた概念ですから。
一応、診断基準というのがあって、それが満たされたら自閉症、満たされなければ自閉症ではないんですね。


10年以上前になりますが、就職面接のとき、「自閉症の特性がみられるけれど、診断基準を満たさない人のことを何というんだい?」と訊かれました。
私が「診断基準を満たさないんだから、その人は普通の人です」と答えたら…
「そうなんだよ。今のやつらは、自閉傾向、軽度発達障害、グレー、ボーダーとか勝手に名前を付けて、障害児を増やそうとしてるんだ」と怒っていました。
そういえば、昔は自閉傾向が多かったですね。
“傾向”って何だよって感じです。
“傾向”がまかり通ってしまうのなら、この世はみんな、「自閉傾向」であって発達障害ですね。


自閉傾向というのは、2000年より前からありまして、発達障害を専門にしている医師は少ないし、しっかり診断できるところも限られている、だけれども、この人は「支援が必要だろう」ということでつけられる場合があったようです。
また低年齢のときに「自閉症」とつけると、親御さんはショックだし、「成長すると変わるかもしれません」と言いつつ、濁した言い方をしていたというのもありましたね。
診断基準は曖昧で、主観の入る余地がありありなので、こうやって「傾向」で逃げていたんです。
症状も、知的障害も、重い子が主でしたから、「支援を受ける」ニーズから始まる言葉でした。


こういった使われ方をする場合もありますが、グレーとか、ボーダーとかになりますと、逃げよりも、商売の、それこそ傾向が強くなったように感じます。
2000年代、高機能、アスペルガーブームに乗じて、こういったギョーカイ人にとって都合の良い言葉が生みだされちゃったんですね。
特性がある子は、みんなグレーの中に入れちゃえって。


こういう風に、ギョーカイのやっていることに否定的な意見を述べると、どこからともなく湧いてくる人達がいますが、本当に彼らが言うようにグレーの概念が、その当時の子ども達を救ったんですかね。
診断基準は満たさないけれど、特性のある子に対して行ってきたことは、何だったのか?
結局、その子たちにTHE自閉症支援、「頑張らなくて良いんだよ」「社会の理解ガー」「二次障害は怖いよ」とやって、障害者枠での就労と生活にしただけでは?
本当は、一般就職ができ、一般の人と同じくらいの給料で、一般の人と同じくらい生活の選択肢もあったはずなのに。


グレーの子たちは、白い方向へと進みたかったはずですし、それを希望していました。
当初、「グレーの子たちにも適切な支援が与えられるようになって、将来の自立につながります!」と言ってませんでしたっけ。
でも、やったことはグレーの子を黒くしただけ。
当時、グレーとなった子ども達の多くは、いつの間にか、どこから見ても黒い大人になってしまいました。
本人も、親御さんも、「適切な支援」「ちょっとした支援」で救われ、成長し、自立できると思っていたのに。


グレーという診断を受けたことで受けられた支援、そして、その後の自立度と…
グレーという診断を受けないことで受けられていた同世代の子と同じ環境、そして、その後の自立度と
を比べてみると、どうでしょうか?
私はグレーという診断を受けなかった方が、本人が変わり、成長できる可能性も、将来の選択肢も広がったように思えますね。
だって、そういう人達を見てきたから。


「グレーという診断を受けれたことで、幸せな人生を送っています」と言う人達は、どれくらいいるのでしょうか?
いたとしても、それは診断を受けることで、「支援サービスが受けられた」「二次障害にならなかった」「周囲の理解が得られた」というギョーカイの言うメリットの受け売りでは?


確かに障害者枠での就労ができたかもしれないし、支援を受けた環境で生活できるかもしれない。
困ったことがあれば相談に乗ってくれる人が、私の言う辛さにいつも共感してくれる人が得られたかもしれない。
でも、本当は、それ以外の可能性があったのではないでしょうか?
別の選択肢、別の人間関係、別の生活、別の人生があったのではないでしょうか?


このような「私の人生のプラスになった」という話なら私は納得しますが、どうも「マイナスを防げた」という趣旨での発言ばかりが聞こえます。
これってギョーカイのセールストークですね。
ですから、「グレー」という言葉を見聞きする度に、あこぎな商売の、あこぎな言葉だと私は思うのです。


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