それって事前の市場調査とか、ちゃんとやってる?

秋は毎週のように講演会や研修会が行われますね。
私のところにも、いろいろな案内がきますが、どうもビビッとくるものは・・・。
このように考えている親御さんや支援者は少なくないようで、どこも人が集まらず苦戦しているという話を聞きます。
ということは、端的に言って、主催者側がニーズを捕まえきれていないという証拠でしょう。

こういう講演会や研修会は、毎年、予算が確保されていて、話し合いの中心は「誰を呼ぶか」ということになります。
年々、参加者が減ってきているので、「できるだけビックネームを」という方向性にまとまる。
(でも、本当は"ニーズの違い"なのに)
ですから、「こんな地方に、とてもお忙しいであろう人が・・・」という方がわざわざ来ます。

わざわざ、しかも著名な先生が来るからといって、こちら側はわざわざ行こうとは思いません。
自閉症に関する新しい知識だったら、ネットや本で得ることができる時代です。
売り文句に「話が面白い」「本をたくさん書いている著名な先生」などの常套句が並びますが、面白い話を聞こうと思えば、噺家さんの方が良いですし、著名な人だったら芸能人やアスリートの方が好きです。
(こういった文言を目や耳にすると、主催者側と参加者側の"隔たり"を感じちゃいます)

第一、私は日々、実践する立場。
自閉症理解の話や社会を変えていこうという話、当事者の方のお話をわざわざ聞きに行こうとは思いません。
即、実践に活かせるのかが大事なポイントですし、当事者の方のお話は日々、聞いていますので。

10年前と比べて、自閉症に関する知識、療育の手法は手に入れやすくなりました。
また、当事者の方の話も珍しくはなくなり、いわゆる"当事者本"もあまり発刊されなくなりましたね。
つまり、世の中の関心は、ただの"自閉症の理解"の段階から、「どうすれば、成長できるか」というような成果の出る実践方法へと移っているのだと思います。

「自閉症の特性や、療育の方法はわかった。じゃあ、我が子が成長し、自立していくにはどうすれば良いの?」というのが、今の世の中のニーズでしょう。
だって、自閉症、発達障害を持った人の中に、困難を克服した人や就労し、社会で活躍している人、結婚し、出産し、子育てをし、定型発達の人と同じように生活している人たちがいることがわかったから。
"自閉症は一生治らない"から福祉や社会の理解を求めようという流れに、「ちょっと待って、自閉症のままで自立して生活できている人たちがいる!」とわかれば、どうしてそれが実現できたのか知りたくなるのが自然な流れです。

どんな商売であったとしても、市場調査は大事ですね。
「著名人を連れてくれば、人が集まるだろう」というのは、貴重な時間とお金を出すお客さんに失礼だと私は思います。
貴重な時間とお金を出す側は、それに見合う対価を求めます。
普通の人がボランティアでやったイベントに、多くの人がわざわざ足を運んでいることもありますよ。
講演会だろうと、地域のイベントだろうとも、「わざわざ出かける価値があるのか」という問いかけに答えを出さないものには、人は集まらないのです。
ニーズは時代によって、刻々と変わっていきますので、それを掴むことが成功の道だと思います。
ちなみに、この秋は1つだけ足を運ぼうと思います。
それは地元ではなく、飛行機に乗っていく場所。
時間も、お金もかかりますが、それくらい価値のあるものだと考えています!

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