その人は認めても、その状態は認めてはならない

アウトリーチ(訪問支援)という仕事の性質上、不登校やひきこもり状態の人からの依頼がある。
また、今年度になって、不登校の子が学校に行き始めたり、長年、ひきこもり状態だった人が新たな道へ進み始めたりしている人が数名出てきたので、その話を聞いて、別の人からの依頼が続いている。

不登校やひきこもり状態の人とお話をして感じるのが、みんな今の状態で良いと思っていないということ。
「学校に行きたくはない」「社会に出るのが怖い」などと言うものの、やっぱり自分でもこのままではいけないとわかっているし、どうにかしたいと考えている。
でも、どうやったらいいか分からない、という状況の人が大部分です。

よく不登校やひきこもり状態の人に対して、「受け入れましょう」「認めましょう」などと、アドバイスする人がいる。
確かに、不登校やひきこもり状態であったとしても、その人のことは受け入れ、認めることが大事だと思っている。
しかし、人のことは受け入れ、認めたとしても、「不登校やひきこもりの状態」は受け入れたり、認めてはいけないと思う。

何故なら、私が会った多くの本人たちは、今の状態から脱したいと願っているから。
そういった状態を本人たちは抜け出したいと考えているのに、周囲が「そのままで良いんだよ」というメッセージを与えてしまったら、どうなるだろうか。
みんな抜け出すための梯子が欲しいのに、「その場所でいて良いから」と言われたときの絶望感はない。

「本人は何も言わないし、今のままで良いようなことを言ってます」という保護者の方からのコメントは、山ほど聞きます。
しかし、それはどうしたら良いか考えられる状態ではないということであり、そのため、変わることが怖いということ。

私の専門は、自閉症、発達障害の人なので、依頼がくる不登校、ひきこもりの人はほとんど診断を受けている。
過去の失敗が印象強く記憶されたり、今後どうしたら良いかを考え、計画し、実行していくことが苦手な人もいるので、ここは自閉症の知識が必要な部分である。
不登校やひきこもりになった原因は、自閉脳ならではの要素もあるので、そこを読み解きつつ、今後、どうやって今の状態から変わっていくのかを考えていく。
そうやってきめ細やかな支援があれば、彼らは成長し、変わっていけると思っている。

親より長生きするのは子どもであり、親がなくなってしまえば、ひきこもり続けることはできなくなる。
だからこそ、不登校やひきこもり状態は受け入れても、認めてもダメ。
後々、困るのが本人たちだから。
親が元気なうちに適切な支援を受け、新たな一歩を踏み出す必要がある。
そして、地域のため、社会のため、若者たちの力を活かしてほしいと願い、新規依頼の人の支援も行っていこうと思っています。

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