「変化が苦手」だからって、まったく変化させなくてもいいの!?

「自閉症の人は変化が苦手」というのは、毎年同じことを行う理由にはならない。
教育内容や行事の内容を変えないことを「合理的配慮」とは呼ばず、「怠慢」と言います。

確かに見通しを持ちやすく、安心して活動が行えるというポジティブな面もあるでしょう。
でも、そこに新たな学びはありません。
物事をルーティン化しやすい傾向がある人だったら、活動に対する意識がどっか飛んでいき、パターンでただ身体を動かしているということもあるでしょう。
意識や注目を伴わない行動には、成長という変化が生まれません。

変化がない世界は、ストレスが少なく、心地良い空間なのかもしれません。
しかし、そのような空間は人口的な世界。
私たちが暮らし、生きていく世界には変化が溢れています。
そういった変化の溢れた世界の中でも、安定して生きていけるように導くことが本当の支援だと言えます。

自閉症の人たちが苦手な変化に対応できるように、変化に"変わらないもの"をプラスします。
スケジュール帳だったり、タブレットだったりというような使い慣れているサポート道具を使い、言ったことのない場所に出掛けてみる。
趣味を用いて、他人と交流する勉強をしてみる。
今まで行ってきた活動に、1つ高度な内容を入れて技能の向上を目指してみる。
変化の渦の中に、変わらず安心できるものを持っていくことで、変化に対応でき、結果として生活の幅を広げ、成長につながっていく。
変化の中に進ませないことも、変化の中に丸腰のまま行かせるのも、同じくらい問題があることです。

変化がないような配慮を見かけたら、それは本人が心身ともに安定しない状態ということでしょう。
変化を最小限にし、混乱した頭と心を静め、学びや挑戦の準備を行うことも大事な支援ですね。

コメント

  1. ななつぼし2015年7月5日 23:12

    先日こんなことかありました。
    帰省中の次女が汽車に乗るため駅で待っていたところ停電が起こり来るはずの汽車が運休になりました。
    次女に「JRはお休みになりました。車に乗ります」と言ったら抵抗なく車に乗って
    「白い恋人」と言いました。
    汽車に乗ることができないので交換条件を出してきたんですよ(^_^;)
    ご存じの通り次女は重度の自閉症
    本来なら急な変更なんてもってのほかのはずです。
    予定は確定じゃない事は多々あります。

    変化は大事だと思います。

    綿密な計画(分かりやすい提示、パニックへの対処等)を立てながら「変化を受け入れる素地」を作ってあげると良いですね。
    知的しょうがいも重くて言語理解が難しいと診断されている次女ですが
    「まぁしゃあないか~」を受け入れるはことができるようになって
    お互いに無駄なパニックは減ったと思います。��

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    返信
    1. ななつぼしさんへ

      まさにななつぼしさんが幼いときから行ってきた「変化を受け入れる素地」作りが、成人になったお嬢様の生きる力につながってきているのだと思います。
      確かに、ななつぼしさんの仰るようにお嬢様は思い知的障害を持っている人だと思います。
      でも、だからといって「どうせ無理でしょう」とか、「周りが変化のない環境を作るしかない」ではないのだと私も思います。
      本当に小さな変化から取り組みを行い、結果として今、大きな予定の変更にもパニックを起こすことなく、さらに交換条件を出せるくらいまでに成長したのですね。
      「まあ、しゃあないか~」と思えるくらい余裕が生まれれば、本人だって、周りだってだいぶ生きやすくなると思います。
      サバイバルスキルって本当に大事だと思います。

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