手記を読んで

手記を読んで、当時のことを思い出しました。
彼は私たちの学年と同じ1982年生まれ。
何かあるたびに、先生から「彼と同級生のきみたち」「サカキバラ世代」なんて言われてました。
今振り返ると、当時の大人たちは激しく動揺し、感情を表に出さない私たちを不気味に思っていたのかもしれません。
また、私たちを理解するだけの"言葉"を持っていなかったのかもしれません。

少年Aの手記を読みました。
発売と同時に購入し、その日のうちに読み終えました。
前日には、父母の手記、更生の記録も読み。

私も息子がいる親の立場です。
被害者の方たちの気持ちを想像すると、言葉では表せない気持ちになります。
でも、発売されたからには読まなければなりません。
もう二度と、このような悲劇が起きないように。
なぜ、彼は犯行に至り、どのように矯正教育がなされ、今、どのような人に変わったのか。

「何が何でも治し、社会の中で自立して生きていかせる」という矯正教育に携わった人たちの専門性の高さと、気概を感じました。
そして、社会に出たあと、「社会が癒し、社会が治し、社会が成長させる」こともあるのだと感じました。
このような重大な事件を起こした人であっても、変わり、成長できることを知れたのはとても大きいと私は思いました。
事件に至る前に介入し、未然に防ぐ可能性があるのですから。
仕事に活かしていきたい。

当時から、少年Aの母親の育て方に重大な欠陥があったと言われていました。
でも、私はそのようには読み取れませんでした。
一般的な子育て、接し方だったように感じます。
どちらかというと、少年Aの受け取り方に違いがあったように思えます。
ときに、親御さんが一生懸命愛情を持って接していたとしても、その愛情を的確に受け取れないために、愛着に問題が起きることも。
これは、日々の支援でもリンクするところです。

決して読んでいて気持ちの良いものではありません。
出版すること自体、問題であるというのもわかります。
でも、出版されました。
読もうと思えば、読むことができます。
出版されたからには、読まないといけない気持ちに私はなりました。
こんな悲惨な出来事が、これ以上、絶対に起こらないようにするために。

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