恐怖や不安も見方を変えれば、興味関心

特定のものに対して、強い恐怖を持つ方がいます。
雷や地震、病気や菌など・・・。
周りの人がいくら大丈夫だと説明しても、何度も気になることを質問したり、過度に避けたり、不安になったりすることがあります。

ひとたび、このような状態になったら、周りが何を言おうとも自分が納得しない限り落ち着くことは難しくなります。
「忘れなさい」と気をそらそうとしても、「大丈夫だから」と安心させようとしても、頭の中はその事柄のことでいっぱいになっています。
ですから、私はそのような状態になった人たちに対して、自分でとことん不安になる事柄について調べてもらうように導くようにしています。

雷が気になるなら、雷が起きる条件や起きやすい場所、起きたときの対処法、雷の威力、天気予報などを調べてもらいます。
病気が気になるなら、気になる病気が初めて見つかったときのこと、なりやすい条件、病原菌の種類、治療法などを調べてもらいます。

自閉症の人たちは、分からないものに対して強い恐怖を感じることがあります。
気をそらそうとしたり、不安を打ち消そうと周りがしても、本人が納得しない限り、恐怖や不安がなくなることはありません。
本人が気づいていない事柄で恐怖や不安を感じそうなものがあれば、周囲の人の配慮によって遠ざけることは有効な支援だと思います。
しかし、いったん恐怖や不安を感じたのなら、その事柄についてとことん知ってもらうことが良いと考えています。
その"知る"という行為が、自閉症の人たちに合った恐怖や不安を克服する方法の一つです。

恐怖や不安も見方を変えれば、本人にとって興味関心があること。
対象が恐怖や不安のものであっても、興味関心を制限するのではなく、活用する方法が自閉症支援の基本になります。

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