実は別の選択肢もあるんです

注意するときと同様に、アドバイスするときも気をつけないといけないことがあります。
それは、こちら側としたらアドバイスしているつもりなのに、相手の自閉症の人には「指示された」と受け取る可能性があるということです。

例えば、疲れた様子に見えた家族から「明日はゆっくり休んだ方が良いんじゃない」と言われた場合、私たちは家族からの"アドバイス"というように受け取ることができます。
また、家族が自分のことを気遣ってくれていることも察することができます。
自分も休んだ方が良いと思えば、明日はゆっくり休むかもしれませんし、やらないといけないことがあれば、出掛けたり、仕事をしたりするかもしれません。

しかし、もし自閉症の人が同じように家族から「明日はゆっくり休んだ方が良いんじゃない」と言われたら、「明日はゆっくり休まなくてはいけないんだ」と捉えてしまう可能性があります。
それは家族の人がなんでそのような言葉を言ったのか、言葉以外から読み取ることが苦手ですし、他の選択肢を自ら導き出すことも苦手だからです。
このことは自閉症の人たちの苦手な"想像"に関係しています。

他の選択肢を想像することが難しかった場合、「明日はゆっくり休む」という選択肢しか目の前にないということになります。
そうなると、必然的に明日はゆっくり休むことになります。
例え明日、自分の予定ややりたいことがあったとしても、休む方を優先してしまうこともあると考えられます。

「どんなことを言われたとしても、すべて"指示"に受け取ってしまう」と発言する自閉症の人たちは少なくありません。
自分だったら、指示され続けられる毎日を送りたいと思うでしょうか?

そうならないためにも、自閉症の人にアドバイスするときは、
「私はあなたが疲れているように感じるから、明日は休んだ方が良いと思うよ」というようにアドバイスする側の意図を伝えるか、
「明日は一日ゆっくり休むという過ごし方と、午前中はゆっくり休んで午後から活動をするという過ごし方があるけど、どちらが良いと思う?」というように選択肢を複数提示する方法が良いと考えられます。

良かれと思ったアドバイスが相手にうまく伝わらないこともありますので、アドバイスの方法も自閉症の人たちの捉え方に合わせて行うと良いと思います。

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