【No.1397】YouTubeチャンネルを分析したら明らかになった驚きの事実

てらっこ塾のYouTubeを開設してから、もうすぐで1年になります。
ブログやエックス(旧ツイッター)などの文字だけじゃなくて、「音声でも発信を」ということでラジオを始め、ラジオのリアクションが良かったので、今度は「音声+動画で」という具合に情報発信のツールを増やしてきました。
すべてに共通しているのは「親御さん」に向けて発信すること。
そうやっててらっこ塾開業とともに10年以上、発信を続けてきたのです。


YouTubeを開設してから、「うちで動画編集しますよ」「視聴者数を増やすための分析と助言をしますよ」「一度、zoomでお話でも」という売り込みが来るようになりました。
いやいや、そんなの外注してまですることじゃないし、自分で分析だってするし。
そんな具合で、「じゃあ、分析データってのを見てみるか」と思って開いてみると、予想外のことが起きていました。
YouTubeの視聴者のデータを見ると、40歳前後が一山ともう一つ60歳前後にもう一山できているのです。
しかも、70代の視聴者さんも多いことがわかりました。
えっ、私、健康と年金、お墓の話してたっけ??
かわいい猫ちゃんとか、昭和の名曲とか流してたっけ?
映っているのは40を過ぎた(イケメンじゃない)おじさんが発達障害の世界について文句を言っているだけ(笑)


すべてのコメントに返信できていませんが、「孫が」という書き込みがたびたび、来ています。
たぶん、視聴者の中にはおばあちゃんやおじいちゃんがいるのでしょう。
そして孫に発達の遅れが、それを指摘された、という方がネット検索でたどり着いたように感じます。
いま、70代の人でもスマホを使いこなしてますし、タブレットを持っている人も多い。
私のイメージではこのあたりの人は、朝ドラ見て、朝の情報番組見て、昼の情報番組見て、夕方の再放送見ている感じで止まっていたけど、そうじゃないですよね。


いま、日本の家庭、子育て世代になにが起きているのでしょうか。
実は発達相談やメールでも、おばあちゃんからのものが来るんです。
「孫が発達障害と診断され、いろんな支援機関に通うようになって娘は心身共に疲弊している」
「心配するほどじゃないのに、”この子には障害がある”といって聞かない」
「将来を悲観して、娘がどうにかなってしまいそうだ」
「孫の発達障害を改善するような助言をもらいたい」
子どもの発達障害は、親だけじゃなく、祖父母の世代まで「悩み事」になっているようです。


もちろん、親御さんからの依頼だろうが、おばあちゃんからの依頼だろうか、お仕事は嬉しいのでお受けしています。
でもね、もやっとするんですよ、正直。
なぜ、そんなにも(主に)娘と孫を心配し、また「おかしいな、発達障害」と気が付き、心配するだけの時間的、経済的な余裕があるおばあちゃんなのに、助けることができないのでしょうか。
どうして娘はおばあちゃんの言葉に耳を傾けないのでしょうか。
もっといえば、説得、納得させることができないのでしょうか。
そこの愛着形成や関係性、コミュニケーションの齟齬が、そのまま、孫の発達の遅れに出てしまっているといえなくもないというか、そんなケースばかり。


実際、伺うと、全然、問題ないですね、ただ発達のヌケがあるだけですね、ゆっくりでも育っているから大丈夫ですよ、というご家庭ばかりです。
それこそ、阿部サダヲが生きている38年前の1986年なら、とくに何も言われないし、親も気にしないし、友達も気にしないで一緒に遊んでいたはずです。
みんな気にしないし、本人も気にしてないし、多少のヌケや遅れは取り立てて騒ぐようなことじゃなかった。
じゃあ、何が変わったかと言えば、お母さんの不安感の強さ。
いや、余裕のなさだと思う。


「私の子育てがダメなんです」「自信がないんです」というお母さんは多いです。
でも、1986年の親御さんって、今のお母さんより子育てが上手でしたか?
自信満々で子育てしてましたか?
そうじゃないですよね。
私は82年生まれなので、86年は4歳でしたが、うちの母は生まれたばかりの赤ちゃん(弟)と私を置いて、よく買い物に行ってましたよ(笑)
1時間、2時間くらい帰ってこないことだってあったし、その間、弟が泣けば、おしめを替えてました。
こんなの今の時代にやったら、ネグレクトで児相案件でしょ(笑)
でも、どのおうちもそんな感じで、子育て100%って感じでもなかった。
ただ専業主婦も多かったし、頼れる親族、またご近所さん、ママ友がいたのは確かです。


発達相談でご家庭に伺うと、お子さんの発達の遅れ以上に、お母さんの生活に心配が向きます。
平日は夜明けとともに起きて弁当作り。
子どもを保育園に預け、仕事に行き、中には調整して療育や民間療法、習い事のところに通っている人もいる。
平日休めない人は、土日にそういった療育などを入れ、一週間動きっぱなし。
仲里依紗が喫茶店スキャンダルでビールを飲もうとするシーン、そのまんまの叫びが聞こえてくるようなお母さん達。
そういった中で保育園や学校から「お子さんがトラブルで」「発達の遅れが」と言われりゃあ、おかしくなるのも当然です。
心身共にボロボロになり、できない我が子を見ると、おのずと「自分が悪い」と自分を責めてしまう気持ちになってしまう。


だから、おばあちゃんにお願いしたいのは、良かれと思って情報を集めるのも良いけれども、一番は娘さんの心身を楽にしてあげてほしいということ。
今は頼れる人がいないし、頼ってはいけない雰囲気がある社会。
余裕をもって子育てできている家庭なんて、ほぼ限られている。
ですから、「心配しすぎだよ」「大丈夫だよ」「こんなアプローチあるよ」よりも、お母さんがゆっくりできる時間を作ってあげてほしい。
夕食の差し入れだっていいし、孫と遊ぶのだっていい。
というか、孫と遊ぶのが最高の発達援助。
おばあちゃんの子育ての経験や人生の経験は、孫世代にとっては貴重な文化の継承であり、発達刺激になります。
たくさん笑って、たくさん話しかけて、たくさん孫と触れ合っていれば、それが子どもの五感、身体を通して神経を育てていく。
神経発達に必要なのは、濃度以上に、そのバリエーションの豊かさ。


療育で決められたプログラムをこなしたって、刺激は単一的で乏しいもの。
でも、おばあちゃんの刺激って、とっても豊かでしょ。
何より孫そのもの、生きて存在していること自体に慈しみの心をもって接することができるから、爬虫類の脳を安心させ、哺乳類の脳を”共感”を通して育むことができる。
いろんな世代の人が協働して育てるのが、ヒト本来の子育ての姿です。


今のお母さんたちは決して怠け者でも、子育て下手でもないと思います。
むしろ、頑張りすぎて、なんでも自分でやろうとしているので、心配になるくらいです。
1986年、私に発達のヌケや遅れがあっても、母はなにもしなかったでしょう(笑)
もしかしたら実際にあったかもしれないし、今もあるかもしれない。
だけど、今こうして家庭を持ち、働くことができている。
ちょっとかもしれないけど、社会のため、誰か他人様のためになっていると感じることもできている。
そんな今の私を支えているのは、母が大事に想って育ててくれたことだろうし、おばあちゃんや近所の人たちからもらった愛情だと思います。
そんな体験、経験を発達云々に関わらず、今の子ども達にも味わってもらいたいですね。




☆『医者が教えてくれない発達障害の治り方』のご紹介☆

まえがき(浅見淳子)

第一章 診断されると本当にいいことあるの?
〇医者は誤ることはあるけど謝ることはない
〇早期診断→特別支援教育のオススメルートは基本片道切符
〇八歳までは障害名(仮)でよいはず
〇その遅れは八歳以降も続きますか?
〇未発達とは、何が育っていないのか?
〇就学先は五歳~六歳の発達状況で決められてしまうという現実
〇現行の状況の中で、発達障害と診断されることのメリット
〇現行の状況の中で、発達障害と診断されることのデメリット
〇療育や支援とつながるほど、子育ての時間は減る

第二章 親心活用のススメ
〇親子遊びはたしかに、発達に結びつく
〇変わりゆく発達凸凹のお子さんを持つ家庭の姿
〇学校は頼りにならないと知っておこう
〇安定した土台は生活の中でしか作れない
〇支援者が行うアセスメントには、実はあまり意味がない
〇親が求めているのは「よりよくなるための手がかり」のはず
〇人間は主観の中で生きていく
〇専門家との関係性より親子の関係性の方が大事
〇支援者の粗探しから子どもを守ろう
〇圧倒的な情報量を持っているのは支援者ではなく親

第三章 親心活用アセスメントこそ効果的
〇子育ての世界へ戻ろう
〇その子のペースで遊ぶことの大切さ
〇「発達のヌケ」を見抜けるのは誰か?
〇いわゆる代替療法に手を出してはいけないのか
〇家庭でのアセスメントの利点
1.発達段階が正確にわかる
2.親の観察眼を養える
3.本人のニーズがわかる
4.利点まとめ
〇家庭で子どもの何をみればいいのか
1.発達段階
2.キャラクター
3.流れ
4.親子のニーズの不一致に気を付けよう

第四章 「我が子の強み」をどう発見し、活かすか
〇支援と発達援助、どちらを望んでいますか?
〇子ども自身が自分を育てる方法を知っている
〇親に余裕がないと「トレーニング」になってしまう
〇それぞれの家庭らしさをどう見つけるか
〇親から受け継いだものを大切に、自分に自信を持とう

あとがき(大久保悠)


『医者が教えてくれない発達障害の治り方①親心に自信を持とう!』をどうぞよろしくお願い致します(花風社さんのHPからご購入いただけます)。全国の書店でも購入できます!ご購入して頂いた皆さまのおかげで二刷になりましたm(__)m


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