支援対象はモルモットではない

新人の頃、支援を始めるときには1つずつ「変える」「加える」「減らす」という指導を受けました。
その理由としては、「自閉症の人は変化が苦手だから」という意味で少しずつ変えていくというのと、複数変えちゃうと結果がどの影響かがわからなくなるから。

当時も思っていたのですが、変化が苦手だったら一気に変えちゃった方が良い場合もありますね。
ちょびちょび変えて、“変化のボディーブロー”の方が辛い気がするし。
そして、複数変えちゃうと、何の影響かがわからないっていうのも、ツッコミどころがありますね。
これって支援者目線です。
本人からしたら、トラブルが起きていれば、すぐに解決したいし、ラクになりたい。
何か新しいスキルを身に付けるにしても、できるだけ早いほうが、実生活で活かせる。
つまり、本人にとって手段よりも、結果が大事なんですね。
結果が大事なのは本人で、手段が大事なのは支援者。
なんで支援者が手段が大事かって言ったら、100%ではないにしても“モルモット”として見ているから。
新しい方法を試したいし、臨床数を増やしたい。
それの方が、仕事上の自分の結果は良くなるから(ブ)

精神科のドクターが1つずつ慎重に薬を変えていくっていうのはわかりますね。
でも、支援はスピーディーに結果を出すのが良いに決まってます。
「この構造化が…」「このプロンプトが…」「この介入のタイミングが…」「この強化子が…」なんて支援者の中での話であって、本人からしたら「それよりも早くしてよね」なんですね。
トレーニングを受けたときも、「日本の支援者は、すべて1つずつ変えるのか!?」って驚いていましたよ。
日本の自閉症、発達障害の入り口は、必ず医者を通らなくてはいけないからでしょうかね。

まあ、原因、要因を確認するのは、本人の情報を集める上では大事なのかもしれませんが、いくらアセスメントシートを用意しても、すべての要因を書き出すことはできませんからね。
一言で体調といっても、睡眠、排泄、食事、疲労…ってあるし、過去の経験っていっても、数えきれないくらいある。
環境だって同じ。
どうせ要因なんか特定できないんだから、そのとき、目的達成のために有効だと思われることをどんどんやったら良いと思うんですよ。
やりやすいことからでも、改善しやすいことからでも、どんどんやる。
そして要因を特定したいのなら、目的が達成されたあとから効果がなさそうなのを削っていき、残ったヤツが確立の高い要因ってことで良いと思いますね。

支援者って人と向き合う仕事であって、モルモットと向き合う仕事ではないんです。
少しでも良くしたい、少しでもラクになってほしい、という想いが始まりであり、終わりであるんです。
私は、その人にとって良いと思われることは何でもやりたいし、できるだけ早くやりたいですね。
何が良かったかなんてどうでも良くて、本人が良くなったらそれだけでOKです。

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