"学校を休む"という選択肢を持たない子ども達

不登校やひきこもりの方たちの集まりに参加させてもらうようになって感じることがあります。
それは「学校に行かない」という選択ができるだけ良いのではないか、ということです。

学校を休むには本人が訴えることができるということです。
ということは、相手に自分の意思を伝えることの苦手な自閉症の子ども、特に知的障害を併せて持っている子どもは、"学校に行かない"という選択肢を自ら訴えることは難しいと言えます。
また、周囲からも気付かれにくく、定型発達の子どものように家族から「学校休んだら」と言われることも少ない、と考えられます。
ですから、定型発達の子どもだったら心身の疲労が溜まり、とても学校に行けるような状態でなかったとしても、「朝時間が来たら保護者の方と一緒に学校へ向かっている」という場合が多いのではないでしょうか。

自閉症の子どもの中には、「学校は毎日行くものである」というような自分流のルールを持っている子どももいます。
特別支援学校に通うある子は、どんなに体調が悪くても学校を休もうとしませんでした。
その結果、学校は休むことはないのですが、湿疹が全身にできたり、髪が抜けたりといったような不調が身体を通して表れていました(特に学年や学期の変わり目、大きな行事の前後など)。
このように自分流のルールで学校を休まない子や、「学校を休んでも良い」と教えられたことがないため、その選択肢を知らない、気が付いていないような子どももいます。

自分で訴えることが苦手な自閉症の子どもの場合は、周囲が本人の心身の変化を注意深く見ておく必要があると思います。
また、自分流のルールで「学校は毎日行くものである」という子どもの場合は、"学校を休む"という選択肢もあることを伝えておく必要があると思います。

この文章を読んで、「学校を休んでも良いと教えるなんて何事か!」「学校を休んでも良いと言ったら、学校に行かなくなってしまうじゃないか!」というご意見を持たれる方もいらっしゃると思います。
しかし、自閉症の人たちは、自分で自分の体調の変化や限界に気が付きづらいため、それに対処してコントロールすることが苦手です。
実際、私は「もっと早く休むことができれば、こんな状態にならなくて済んだのに」という人たちをたくさん見ています。
一度崩れてしまうと、学校に行くことはおろか、日々の生活にも大きな支障がでてしまう場合もあります。
定型発達の私たちから見たら、自閉症の人たちは"頑張りすぎてしまう人たち"だと表現することができます。
ですから、そのような状態にならないためにも、周囲の人たちが本人の心身の変化に注目し、それに応じた調整の手伝いをすること、また"休む"という選択肢を本人たちがわかるように提示しておくことも大切だと考えています。

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