【No.1434】一般就労を阻むものは?

働きたくても働けない、一般的な8時間労働ができない人もいる。
一方でバリバリ働きたくても働けない、働かせてくれなくて不満を持っている人もいる。
働けない人に合わせた社会が望ましいのか、それが健全な社会といえるのか。
仕事がやりがいになっている人もいるでしょうし、政治家、首相となれば24時間365日しっかり働き続けてもらわなければ困る。
災害や外交上の問題が起きたとき、「いま、勤務外なので」という首相をお望みなのだろうか。
それにしても、日本人はいつからこうも働きたくない国民になってしまったのだろう。
みんなが横並びで働かなくなったことが失われた30年を作ったのは明白なこと。
働きたい人は組織など属さず、起業したり、成果型の仕事に就いた方が良いと私は思っています。


「働きたいけど、働かせてくれない」という相談はここ函館だけではなく、全国各地からやってきます。
大卒、専門学校卒の人を相変わらず障害者枠で雇ったり、A型B型の福祉的な作業所に閉じ込めたりする事例が後を絶たない。
企業としては、そりゃあ、ある程度、学歴、つまり適応能力が合って、ちょっと変わった人くらいが良いに決まっています。
問題起こす人を雇うほど余裕がある企業は日本にありません。
また福祉事業所としても、暴れる人よりも、静かに黙々と働いてくれる人が良い。
ほぼ素人の職員、パートのおばちゃんで、この頃は外国出身の人で成り立っている福祉ですから。
同じ補助金がもらえるのなら、できるだけ軽度で問題がない人が良いと思うのは自然な流れでしょう。
どこに「障害を持った人のために!」と熱い思いで働いている職員がいるのでしょう。
そういった人もまたマイノリティ。


相談者の99%は当事者、本人で、訴えのほとんどは「もっと働きたい」「自立して生活がしたい」というものです。
じゃあ、彼らの訴え、希望を阻んでいるのは誰でしょうか。
もちろん、お客さんとして迎える企業や福祉事業者といえますが、多いのは親、家族なのです。
「今の福祉的な作業所をやめて、一般就労したい」
そういったとき、一番に止めるのは家族です。
「二次障害」という洗脳もあるでしょうが、実際にお会いして話を伺うと、親が何より不安なのです。
いまの安定した生活が崩れるかもしれない。
それは本人も、私たち家族も。
お給料は少なくても、なんとかやっていけてるからこのままでいい。
万が一のことがあっても、福祉事業所と繋がっておけば、あとのことは面倒見てくれる。
そういう想いが見え隠れします。
チャレンジしたいのを止めるのは社会ではなく、身内。
女性の敵は社会ではなく、同じ女性であるというのにも似ています。


日々、老いていく親と、挑戦したい本人。
相談者本人をサポートし、就労、自立したケースもあります。
だけど、家族や福祉事業所の反対によって、現状維持で収まったケースも多々あります。
働きたい人が働ける社会、より働きたい人がより自由に働ける社会が望ましい。
ひとは「社会のせいだ」「社会が変わらないといけない」というけれども、その変化を阻んでいるのは医療や福祉、一般の人ではなく、一番近くにいる家族だと思うのです。


いま、抱えている相談ケースでも、親御さんの反対により前に進めないものが数件あります。
そんな悲観的な家族を育てるのは、治さない、治すことを目指さず「現状維持」を掲げる医療、福祉、教育ではないでしょうか。
”治らない”障害の目指すものは現状維持。
避けるものは悪化、二次障害。
ゴールは支援を受けながらの生活。
これは親御さんに対して「(根本から変えるようなことは)何もできることはない」「親ではなく、支援者、介護者になれ」というメッセージじゃないですか。
そんなメッセージを受け続けた親御さんが「本人の挑戦を後押ししたい」と思えるはずがないのです。


社会を変えるというのは人を変えることなのでしょう。
私にできることは子育て中の家族のもとに行き、治る希望と治す希望を伝えることだと考えています。
大人になったとき、本人の希望を叶えるためには、まず家族が希望を持った子育てができるかどうか、それを後押し、サポートしていくことだと思うのです。


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