2018年12月7日金曜日

心地良いリズムを作っていく

一生懸命、子どものために情報を集めたり、試行錯誤されたりするのと、子どもにあれもこれもさせるのは、ちょっと違う話だと思います。
「早く治ってほしい」と願うのは自然な感情だといえますが、植物が水や肥料をあげ過ぎると枯れてしまうように、子どもも多すぎる刺激は、却って良くないこともあるのです。


子どもが起きている時間は、「なにか発達に繋がるものを」というように、いろんな活動をされる家庭があります。
そういった想いを持たれるのは自然だと思いますが、いつしか「そう動かなければ、うちのこは治っていかない」というようなプレッシャーを自らにかけている親御さんも少なくないように感じます。
そういった親御さんに対し、私は空白の時間の大切さを伝えています。


何もしない時間、していない時間というのは、外から見える世界です。
子どもの内側に目を向ければ、脳内のネットワークを繋げている時間であり、刺激によって起きた興奮を静め、次の発達に向けて整え、準備している時間だといえます。
特に幼少期の子どもというのは、神経発達が盛んな時期ですので、特別なことをしていない時間だったとしても、内側では神経が伸びたり、繋がったり、整理したりしているのです。
ですから、空白の時間、刺激が少ない時間を過ごすのは、決して無駄な時間ではなく、むしろ、今まさに神経発達が行われている瞬間と言うこともできます。


また、空白の時間は、子どもが自ら主体的に、自分に必要な刺激、動き、遊びに向かっていける時間だといえます。
どんなに頑張っても、子ども本人になることはできません。
なので、どうしても、良かれと思ってやっている活動、与えている刺激、環境も、本人が求めているものとズレが生じてしまいます。
本人が今、求めている発達刺激と、こちらが与えようとしている発達刺激とのズレです。
そのズレを埋めるのが、空白の時間であり、その空白の時間を使って、本人が主体的に、自由に自らを育てていくのだと考えています。


子どもを治すため、より良く育てるために、日々頑張られている親御さん達の中から、「もう限界です」「私には無理です」という相談を受けることがあります。
お話を伺うと、親御さんがヘトヘトであり、子どもさんもヘトヘトという場合が多いのです。
こういった親御さん達は、能力や頑張りが足りないのではなく、バランスが崩れている、リズムが良くないだけだと思います。


朝起きてから寝るまで「強・強・強」の生活を送っていると、じっくり育つ時間、育つ準備をする時間がありません。
結果的に、親子共々、一日をこなすだけで精一杯になってしまい、ヘトヘトな毎日を過ごされることになります。
一日を終えたとき、心地良い疲れ、やりきった疲れと、ヘトヘトになる疲れは、意味合いが大きく違うと思います。
ですから、その家族、親子に合ったリズムを作っていくことも大事になります。


私の仕事のメインは家庭支援ですので、「強・強・強」のご家庭には、「弱」「静」「間」の大切さを伝えています。
つまり、発達や成長を促す頑張る部分の他に、子どもさんが休み、整理し、主体性と自由を謳歌する時間を作るということです。
そういった個々の状況や状態に合わせたリズムができてくると、親御さんもただ疲れるだけではなく、一日やり切ったという心地良い疲れを感じながら布団に入ることができます。
発達障害を治すのも、子育てするのも、短距離走ではなく、持久走です。
リズムを感じ、リズムよく歩を進めることが、継続できること、確実にゴールすることにつながります。


「治ってほしい」が、いつしか「治さないと」「治さねばならない」となると、空白の時間が苦しく感じてしまうような気がします。
でも、子どもは自分に必要な刺激、発達がわかっていて、自ら育んでいこうとすることが多々あります。
ですから、空白の時間を「何もしない時間、していない時間」ではなく、子どもが自ら育つ時間と捉えられると良いと思います。
それでも「何かしないと気が休まらない」というのでしたら、子どもが主体的に選択し、遊んでいるものを一緒になって遊ぶ。
思いっきり子どもがやりたい遊びを一緒にやるのも、発達援助です。


「あれもこれもやらなきゃ」と、しんどい思いをされているのでしたら、家族の心地良いリズムを見つけ、作られていくと良いような気がします。
心地良いリズムは、子どもの発達を伸びやかにし、心地良い疲れを得ることができます。
心地良い疲れは、明日へのエネルギーになるはずです。

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