お金の使い方だけではなく、仕組みも

先日、来春に就職を控える生徒さんに「お金」についてのセッションを行いました。
テーマは「お金はどこから来て、どこに行くのか」です。
具体的には、販売の仕組みと税金の仕組みです。

その生徒さんは、軽度の知的障害を持っている自閉症の人です。
一人で出かけたり、買い物したりすることはできますし、基礎的な読み書き計算は行えます。

親御さんがどんな仕事をしているかはわかります。
でも、その親御さんのお金は、どうして得られるのかがわかりませんでした。
すべてのお金は、銀行が持っていると考えていたのです。
また、お店でお金を払うと、そのお金がどうなるのかわかりませんでした。

お金の計算や支払いの仕方は理解しています。
しかし、その1つ1つの行動がどうつながっていくのかがわかりませんでした。
ですから、お店の品物は、その品物を生産する人がいること。
そして、その品物をお店の人に販売してもらうことでお金を得ること。
でも、売ったお金はすべて品物を生産した人が得るのではなく、お店で販売した人とお金をわけることなどを勉強しました。
また、直接、現金のやり取りを行う販売という方法だけではなく、みんなのお金を少しずつ集め(税金)、サービスを行ってもらう仕組みがあることも勉強しました。

用意してきたプリントや具体例を用いながら、1つずつ丁寧に勉強していきました。
1時間のセッションでしたが、それぞれの仕組みが分かったようで、「社会の中に、このような仕組みがあることは知りませんでした」と言っていました。
お金の仕組みを通して、社会の仕組み、成り立ちを理解していってもらいたいと思っています。

通常級では、お金の仕組み、社会の仕組みを小学校の内から学びますが、特別支援学校では、どちらかというとお金の使い方がメインの学びになっているように感じます。
物事の結びつきを想像し、理解することが苦手な子ども達も多くいますので、普通学校の子どもたち以上にしっかり取り上げ、指導してもらいたいと思います。

お金の仕組み、世の中の仕組みがわからなければ、働いてお金を得ること、お金を使い消費することは、ただの動作で止まってしまいます。
お金は世の中をぐるぐる回っていること。
自分が働いたお金、消費したお金はすべて自分のためだけにあるのではなく、それによって世の中がうまくいく仕組みがあることを理解するって、生きていく上でとても重要なことだと考えています。

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