頑張る部分と頑張らない部分

現在、てらっこ塾を利用してくれる方のニーズとしては、スキルアップしてほしいというような依頼が全体の1割程度であり、残りの9割が本人や周囲の人が困っていることをどうにかしてほしいという依頼です。
圧倒的に困った行動に対する依頼が多いのですが、そのとき、気をつけていることがあります。
それは、その困った行動の背景に自閉症の特性があるか、ないか、という点です。

「奇声を上げて困っている」
「ネガティブな考え方から脱せなくて困っている」
「自傷や他害行動に困っている」
「学校の授業を受けられなくて困っている」
など、いろいろな内容で依頼が来ます。
しかし、すべての行動が自閉症故の行動かといったら、そうでないことも多いと感じます。

自閉症の人の中には、奇声を上げる人がいます。
しかし、自閉症だからと言って、みんなが奇声を上げるわけではありません。
奇声を上げてしまうことの背景、つまり自閉症の特性がどのように影響しているのかに注目します。
そして、その背景に自閉症の特性の部分が絡んでいれば、その部分にアプローチするようにしています。
例えば、言いたいことがうまく表現出来ないことであったり、環境からの刺激に圧倒されてしまっていたり。

中には奇声を上げることで、自分がやりたくないことから逃げ出そうとする人もいます。
こういたった場合、注意が必要です。
奇声を上げることはコミュニケーションの苦手さという自閉症の特性の部分と関連していますので、適切で分かりやすい伝え方を練習する必要があります。
この部分は、自閉症支援です。
しかし、自分がやりたくないからと言って、何でもやらなくて良いということにはなりません。
嫌でも歯は磨かないといけませんし、好きなゲームもずっとはすることはできません。
この部分は、人としての幼さがあり、自己をコントロールする未成熟さが関係しています。
ですから、この人の部分は変わったり、成長してもらうために頑張ってもらわなければなりません。

自閉症の特性の中には、どうしても変わらない部分があります。
この部分は、頑張る部分ではなく、自閉症支援として妥協点を見つけたり、様々な手立てで補助していきます。
しかし、人の部分は変わる可能性がありますし、成長できると思います。
よって、その人に頑張ってもらう。
こういった意識をしっかりと持っていなければ、全部受容だったり、全部否定だったりとちぐはぐな支援になっていまいます。
依頼してくれる方の話をしっかりと聞き、いろいろな角度から行動を見ることにより、どの部分に支援、療育を行うか、を明確にすることを心がけています。

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