自閉症の人特有の注意の向け方

この文章を読んでいるあなたの周りには、いろいろな刺激があると思います。
窓の外から聞こえてくる車の音。
太陽や照明の光。
パソコンや携帯を触る指の感触。
食事や香水のにおいもするかもしれません。
でも、あなたはそれらの刺激に注意を奪われることなく、この文字を読むことができます。
でも、自閉症の人の中には、周りの刺激に注意を奪われて、この文字を読むことになかなか集中できない人もいます。

定型発達の人と自閉症の人では、「注意の向け方が異なっている」と言われています。
私たちは注目するものを自分自身で決めています。
例えば、誰かと会話しているとき、周囲がどんなに騒々しくても、相手の話を聞くことができます。
そのとき、周囲の声や音は耳に入っているはずなのに聞こえません。
これは自分自身で注意を向けるものを決め、優先して刺激を受け取ることができるからです。

一方、自閉症の人は注目するものを自分自身で決めることができないことがあります。
上の例と同じように、誰かと会話をしているとき、隣から会話が聞こえてくれば、そちらの方に注意が向き、また、食べ物の匂いがしたら、そちらの方に注意が向いてしまいます。
このように、自閉症の人は自分自身で注意を向けるものを決めることが難しく、周りから入ってくる刺激に次々と受け取ってしまいます。

何に注意を向けるかを定型発達の人が"内面"で決めているのに対し、自閉症の人は"外部"が決めてしまうことがあります。
私たちは周囲の刺激を取捨選択し、優先順位をつけて受け取っています。
でも、自閉症の人たちは、すべての刺激を全部同じ順位として受け取ってしまうのです。
本当は相手の話に注目したいのに、周りの話し声や蛍光灯の光にも次々と注目してしまうのです。
それが本人の意思とは関係なく。

こういった特性からも、自閉症の人たちの生きづらさを感じます。
このような自閉症の人たち特有の捉え方をイメージできることと、本人の代わりに私たちが不要な刺激を制御することが大切だと考えています。

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