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【No.1428】神経発達症の分野にQEEGやAIが入ってくる!

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うつ病の人に確認できる典型的な脳波、特徴が明らかになっているそうですね。 脳波を測定し、「あなたは、こことここの脳機能の低下が顕著にみられているので、うつ病と言えるでしょう。(そこの部位をターゲットにした)治療を開始しましょう」となる。 意地悪な私はここで想像する。 じゃあ、典型的ではない脳波、うつの特徴が出ていない人の「うつ症状の訴え」はどうするのだろうか。 今まで良かれと思って(?)、患者の訴えをそのまま受け取り、「うつ病ですね」としてきた医師とその患者はどうなるのだろうか。 悩みがあって寝られないのも、眠たくても寝れないのも、一色淡にして眠剤を出してきた医師。 集団の厄介者として認定された人が、他人のススメによって受診、診断のパターンもある。 自分はうつ病だと思い込んでいる本当は愛着障害の人はどうなるのだろう、なんて空想する。 当然、その流れは神経発達症の分野にもやってくるでしょう。 で、典型的な「ASDの脳波」「ADHDの脳波」「LDの脳波」「知的障害の脳波」が見える化される時代。 中には「やっと精神医療の世界にも科学的な診断が」と考えている方もいると思いますが、私は逆で診断自体、必要ないモノになるんじゃないか、そっちのほうが良いとも思っているのです。 典型的な脳波じゃない人でも、困っている人はいるし、生きづらい人もいる。 診断基準に当てはまるかどうかよりも、自分の生きづらさの根っこを知るためのツール、自分の脳の特徴、現状を知ることで、よりよく育ち、生きるための入り口にする。 私はこっちが理想です。 「診断を受けていないけれども、相談、利用できますか?」というお問い合わせは毎月のようにきます。 実際の数字までは調べてないのでわかりませんが、私のところにいらっしゃる相談者の50%くらいは未診断、診断するかどうか迷っているご家族です。 診断名が必要なのは公的な支援を受けるためであって、私は民間の相談機関ですし、そもそもよりよく育つための発達援助を行うのに診断名は必要ないのです。 「自閉症だから〇〇という療育」ということ自体、間違え。 自閉症といわれるような特徴、脳の凸凹があるかもしれないけれども、同じ人はいません。 多様性と言いながら診断名による画一的な療育、支援、投薬を行う人達。 それよりもみなさんが知りたいのは、「我が子の育て方、発達の後押しの仕方」じゃない...

【No.1427】表情を育てよう

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いつも行くスーパーには携帯ショップが入っていて、そこのお姉さんはいつもビラやポケットティッシュを配っている。 「どうですか、話だけでも聞いていきませんか」 「いま、キャンペーン中でお安く入れます」 「機種変更、他者からの乗り換えもすぐにできます」 ほとんどの人に見向きもされないが、満面の笑みを作り、今日もスーパーに来ているお客さんに声をかける。 だけど、この頃、おかしい。 とうとう表情筋が死んだのかもしれない。 目が笑っていないのに、普通の顔をしているのに、口角だけが上がっている。 いや、上がって落ちなくなっているのだろう。 笑顔はひとを元気にしてくれるというが、不自然に上がり続ける口角、頬は不気味だ。 もうすぐ退職するだろう。 顔の表情は大事なコミュニケーション。 それは伝えるだけでなく、伝わる、理解する上でも。 一方的なコミュニケーションをする子は、表情が硬い、表情が乏しい。 空気が読めない子は、表情が硬い、表情が乏しい。 自閉症、発達障害があるから、一方的なコミュニケーションまたは空気が読めないのだろうか。 いや、「相手の表情が読めないから」であり、相手の表情が読めないのは相手の表情と同調する表情を自分が持ち合わせていないから。 幼稚園で一方的な関わりをしてしまい、友達とトラブルになることが多い。 学校で場にそぐわない発言をして、同級生の中から浮いてしまう。 これまたあるあるの相談内容。 そしてその原因、またその子をアセスメントしてみると、やっぱり表情に未発達が確認できる。 表情が育っていない子に、「友達との会話の仕方」「授業中の振舞い方」を教えても、それはただの丸暗記になってしまう。 だから、特定の教わったまんまの場面だと振舞えるが、応用が利かない。 日本の療育の基本は上記の「自閉症があるからコミュ障」「社会性の問題は振舞い方を教える」なので育たないし、治らない。 「表情が乏しいのが自閉症の特性」なんていう支援者もいる。 でも私なんかは表情が育っていないのなら育てりゃいいんじゃない、と思う。 表情を育てることなんて、特別な器具も、専門家も必要ないんだし。 ただそれを特性とみるか、未発達とみるか、何の未発達がコミュニケーションの課題と繋がっているか、知っているかどうかの違いは大きい。 赤ちゃん時代、まったく笑わなかった子が2歳を過ぎたあたりから「笑うようになっ...

【No.1426】興味関心の狭さ問題

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「いつもミニカーを並べている」 「ブロック遊びをもう5年以上続けている」 「アンパンマン以外、興味を示さない」 遊びが変わっていかない。 興味の幅が広がっていかない。 特定のものにしか興味がない。 このような悩みを持たれているご家族は多いと思います。 実際、相談でもあるあるの内容です。 同年代の子ども達は興味の範囲を広げ、遊びもどんどん変わっていく。 そんな姿を見れば、不安に思うのは当然のことです。 だから、興味の幅を広げようと、いろんな場所や活動へ連れていく。 地域のイベントがあれば、そこに参加してみる。 よい習い事がないか、体験会がないか、探して行ってみる。 だけれども反応は変わらず、動物園に行っても、ベンチにミニカーを並べて過ごしている。 だから今度は「ミニカーをもっていかない!」とすると、子どもは家から出ない、家から出てもずっと不機嫌、挙句の果てにパニックになって泣き叫ぶ。 そしてママのメンタルは削られ、「やっぱりうちの子は無理かも」と諦める。 そこに「うちの子、成人した今でもアンパンマンよ」というSNSや先輩ママの声に一時的に癒される。 支援者には「否定するのではなく、受け入れましょう」と言われたり、「アンパンマンをご褒美に、別の活動もやらせて興味を広げましょう」と言われたりする。 で、「興味関心の狭さ」という課題が、「特定の対象に対するこだわり」へと進化する。 興味関心の問題は、パパっと対処できるような話ではないですね。 ご家族の様子を聞いても、年単位で時間がかかることが多い。 それはその子の心と、発達(成長)と繋がっている話だから。 やっぱり「育ち」がメインになります。 このブログだけではお伝えできない課題なのでポイントだけ紹介。 まず興味関心が狭いというのが身体、感覚と繋がっていないか。 つまり、身体や感覚の未発達により、狭い範囲でしか気づけていない、捉えられていないかもしれない、ということ。 たとえばブロックとか固くて無機質なものは触った感覚が一定で、ある意味、単純で乏しいから認知できている。 だけど、触覚が育っていないため、花などの植物は崩れやすくて、触れるだけでも多彩な刺激が指から伝わってくるものが認知できない、わからない。 わからないから気づけていなくて、興味が移っていかない、ということもある。 テレビしか見ないか、動画に没頭して過ごしている...

【No.1425】「呼吸を育てる方法は?」

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「呼吸を育てる方法は?」 という相談メールが早速来ます。 当然です。 昨日のブログを読んでくださった親御さんなら知りたくなるのは自然な感情。 「少しでも良くなる方法はないか」 「我が子が楽になれるアイディアはないか」 そんなアンテナが立っているからこそ、SNSを通して縁ができるのだから。 そうやって意識の高い人が相談者、利用者になってくれるから、変わるのが早い、親御さん、支援者さんのほうが。 呼吸を育てる方法、呼吸を整える方法は、無数にあります。 先日ブログにした『脳の中身を見てみよう~AI時代の発達セラピー』の書籍の中で紹介されていたバイオフィードバックで心拍数を見ながらトレーニングしていく方法があります。 また必ずしもそういった科学的な方法じゃなくても、シャボン玉や風船膨らませ、ストロー吹き、プールやお風呂に潜って育てる方法だってありますね。 ADHDと呼ばれる子が、動き回っているのは自分自身で呼吸を育てているともいえるのです。 じゃあ、冒頭の相談に戻ります。 「呼吸を育てる方法は?」 という相談の答えは 「たくさんあるんですよね」 「私の持っている情報、経験から言えば、〇〇や△△、□□がありますね」 になります。 でも、みなさんはそこが知りたいわけじゃない。 「(”我が子の”)呼吸を育てる方法は?」 なんですよね、きっと。 だけど、そこには個別性がある。 みんな神経発達症だけど、あなたと私の子は同じ神経発達症ではない。 近い将来、自分でインストールしたアプリでモニタリングしながら呼吸が育てられるような時代がくると思います。 だけれども、そこにはまらない子もいるわけです。 デジタルに没頭しすぎてしまうか、反対に刺激が強くて見れない子。 そもそも集中が難しい子、理解が難しい子、身体コントロールの部分で課題がある子もいる。 赤ちゃん、幼児さんだっている。 そしてもしかしたら呼吸は本当の課題ではなくて、ほかの根本的な問題から派生している結果なのかもしれない。 だから、「(”我が子の”)呼吸を育てる方法」は、私にはわからない。 知っているのはお母さん、家族だから。 そして教えてくれるのは子どもさん自身。 子どもさん自身をよく観察して、どういったアイディア、方法なら呼吸が育てられるか。 もっといえば、自然と呼吸が育っていくような状態、環境をどのように作っていけるか、生活を...

【No.1424】生きているから発達する

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「神経発達に必要なのは『酸素』『栄養』『刺激』です」 というのは、一時期、発達相談後の報告に必ずと言っていいほど、書いていた文言です。 もちろん、今でも必要なご家族には発達援助のキモなので伝えるようにしていますよ。 やっぱりなにか指針となるものが必要ですよね。 いま、目の前にある支援、アプローチが、我が子の神経発達を援助するものなのか、一時的な課題への対処なのか。 もっと簡単に言っちゃえば、発達&成長を目指すのか、一時避難を目指すのか。 視覚支援というのは、それによってわかりやすくなることで脳に刺激として伝わるという意味があるかもしれませんが、呼吸の課題や食事の課題、内臓の消化吸収の課題があれば、神経発達にはつながらないでしょう。 一方で身体アプローチはおのずと上記の三つが満たされることがある。 たとえば、運動発達のヌケ、ハイハイを飛ばしちゃった子がもう一度、やりなおし、そのヌケを育てなおす。 そうすると、今までできなかった動きができるようになり、活動範囲、体験&学習の幅が広がっていく。 活動が活発になると、刺激のバリエーションが豊かになるし、子どもならお腹が空く。 同時に”活発”というのは見えている動きだけではなくて、内臓の動きにも変化を起こしてくれる。 もちろん、動くと酸素が欲しくなる。 嬉しくて興奮する、わくわく鼓動が高まると、心肺機能が活発になる。 動物であるヒトは、その名の通り動く生き物であり、動くことで発達を遂げていく存在。 じゃあ、発達に遅れがあるのなら、脳機能の低下、過剰反応があるのなら、動くことで育て、調整していくのではないでしょうか。 生きているから発達するし、生きているから変化が起きる。 じゃあ、我々ヒトの生きるってなんだと問われれば、酸素のある地球という環境の中で、無限にある刺激を受け、それに心身を適応させながらメシを喰っていくこと。 『酸素』『栄養』『刺激』という原理原則から離れなければ、発達援助は大丈夫! ▶発達相談の内容・お問い合わせはこちら http://terakkojyuku.com

【No.1423】呼吸から始まる発達援助

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昨日、紹介した『脳の中身を見てみよう~AI時代の発達セラピー』は花風社さんから出版された新刊。 同じように新刊が出るたびに購入しているのが、神田橋條治先生の本で、この夏に読んだ本の一つになります。 タイトルは『80歳からの養生と援助の工夫』 まだ自分には早いかなと思うし、実際のお客さんでもさすがに80代の人はいません(笑) でも、神田橋先生の本は可能な限り、買って勉強する。 今回も神田橋先生ワールド満載の内容でしたね。 本の中で、「rTMS療法」について記されていた項目がありました。 厳密に言えば、rTMS療法の”真似事”というお話ですが。 ターゲットとなる脳の部位に磁気を使って誘導電流を生じさせる。 そして神経細胞の活動電位を活発化させる治療法が「rTMS療法」の簡単な説明。 当然、専門的な機器と治療者が必要なんだけど、神田橋先生は自前でやっちゃう。 脳の「邪気」を察知し、そこを「気の針」を使って刺激して「快」の状態にもっていく。 最後には「(rTMS療法と)雰囲気が似ているだけで、何の関連もない」と記してあるけれども、神田橋先生なら自分でやっちゃうんだと思います。 『脳の中身を見てみよう~AI時代の発達セラピー』の著者である中川先生と、医療監修で携わった田中先生は、どちらも治療法の一つとして磁場や電流を使って脳を刺激する方法を紹介、実践されています。 最先端の技術と治療法じゃないですかね。 一方で気候や独自の養生法を使って治療する神田橋先生がいる。 同じ日本の同じ時代で正反対のアプローチをしている。 そしてどちらも”治しちゃう” 治っちゃうなら、どちらの方法だって、どんな方法だってか構わないというのが私の考え。 栄養で治る人もいれば、療育整体で治る人もいる。 身体アプローチだって、感覚統合だって、良くなればなんでもOKでしょ。 ひとは複雑系だし、子どもの場合は神経発達が盛んだから、その時期その時期で必要なアプローチ、刺激が変わっていく。 だから、いろんな方法を知っていて、もっとも育つ場である家庭をコーディネートできることが重要になる。 それがてらっこ塾の一つの役割じゃないかなと思う。 専門的な機関、最先端の科学的な治療が受けられるご家族はどんどん受けたほうが良いと思います。 治療で治せるのなら早く治したほうがいい。 お金はあとからでも稼げばいいけれど、子ども時代...

【No.1422】『脳の中身を見てみよう~AI時代の発達セラピー』を読んで

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「自閉症だと診断されました」 「脳の機能障害だと言われました」 「じゃあ、息子さんは脳を調べられたのですね」 「いや、病院では脳の検査をしませんでした」 「問診と視診だけで、どうして脳の機能障害とわかったのでしょうかね」 こういったやりとりを数えきれないくらい行ってきました。 でも、これからの発達相談では 「側頭葉の島皮質に機能低下が出てたんです」 「脳神経の刈り込みがうまくいってなくて、部位同士の繋がりが強すぎるのが問題の根っこだとわかりました」 などと言われる親御さんも出てくると思いますね。 神経発達症は科学技術の発展により、治療対象になったのです。 脳波測定用のキャップを被り、脳波を定量的に見ることができる。 しかも数分間という短い時間で。 さらに定型発達とのずれをAIが分析してくれ、そこを刺激するアプローチもある。 以前の療育、支援とは別次元に入ったと言えます。 でも、日本全国津々浦々まで行きわたるには相当時間がかかると思います。 というか、日本の特徴として児童発達専門の医療機関、療育機関に行って、「じゃあ、脳機能をスクリーニングして、トレーニングにつなげましょう」と言ってくれる可能性は、宝くじに当たるくらいの確率でしょう。 簡単に言えば、発達障害の分野は科学と距離を置くことで発展、維持してきた分野です。 診断は成育歴と問診。 アプローチが先にあって、そこに子どもを合わせる療育。 本当に意味があるのか、効果があるのか。 たまたまその子の成長と重なったのか、評価するものはないし、その評価すら作ろうとしてこなかった。 「みんな発達障害で、みんなが理解し、支援を受ければ、それでよし」 誰のせいでもなくて、誰かが頑張る必要はない。 だって、生まれつきの障害で受容しなきゃならないから。 「多様性万歳!」を叫んでいれば、誤診だって、過剰診断だって、向精神薬だって、アンパンマン療育だって問題なし。 医療も、福祉も、支援者も、みんな、生きていける。 口を開けて待っていても、この書籍で紹介されている検査、治療アプローチは降ってきません。 長い間で構築された発達ギョーカイに自浄努力、自ら当事者ファーストに変わることを期待しても難しいでしょう。 だから、こういった方法があることを知ることが大事。 海外ではすでに実践され、米国小児科学会では薬物よりも優先順位が高い位置づけになってい...