【No.1471】その療育、トレーニングが「マッチしているか?」の見分け方
「療育機関でトレーニングを受けている姿を見てほしい」とお願いされることがあります。
たしかに成長はしている。
事実、地域の評判がよくて、利用の待機者もいる。
でも、そこで行われている専門的な療育がこの子に合っているのか、この子のどんな発達に寄与しているのか、わからないから、判断がつかないから「第三者の視点で見てほしい」という依頼があるのです。
療育機関に限らず、児童デイや児発、学校を見学するときも、いや、家庭での取り組みを見るときも私は子どもの反応に注目します。
そのトレーニング、活動に「没頭している」「熱中している」姿が確認できればOKです。
その取り組みとその子の「今育てようとしている発達(課題)」とマッチングが良いと判定できます。
反対にその取り組みから「逃げよう」「避けよう」としていれば×です。
これはとてもシンプルで、特別な話ではないでしょう。
しかし、一つ判断が間違いやすい子どもの反応があります。
それは「頑張っている」です。
頑張って身体を育てるリズム運動をしている。
頑張ってコトバの練習をしている。
頑張って細かい手の動きを練習している。
親御さんとしては我が子が頑張る姿をみるのは喜びでもあり、ポジティブな評価をしてしまいがちです。
当然、スタッフも「〇〇くん、今日のトレーニング、とっても頑張っていましたよ」と笑顔で報告してくれます。
もちろん、できないことをできるように“頑張る”というのは素晴らしいことですし、成長や自立のために必要なことです。
でも、発達に限って言えば、「頑張る」は×です。
子どもの視点に立てば、自分の興味関心から“ズレている”から頑張ろうとします。
身体や感覚に必要な刺激とズレているから頑張って立ち向かい、刺激を受け入れようとしている。
赤ちゃんが手足を動かすのは、手足を育てようと頑張っているわけではなく、手足を動かすことで得られる刺激が心地よくて没頭しているのです。
自分の持っている手札の中から組み合わせを変えたり、総動員したりしながら挑戦する頑張りは応援です。
でも、発達の遅れやヌケ、凸凹の凹の部分に関していえば、頑張らせるのは危険です。
発達を促しているつもりが、学習を促してしまう危険性があるからです。
コミュニケーションとしてのコトバの発達を伸ばしたかったのに、りんごをみたら「リ」と「ン」と「ゴ」を続けて発声するスキルを身に付ける学習になっている。
前庭感覚を育てようとトランポリンを跳ぶようにしていて、高く跳べるようになった、何十分も跳べるようになったけど、肝心の前庭感覚はアンバランスのまま。
世の中に「発達を促す」と謳ったものが溢れているけれども、実際は発達ではなく、学習、つまり型を覚えているというケースがほとんどです。
だから、いつまで経ってもやることは増える、やることは減っていかない。
ヒトも動物の一種です。
私達の脳は魚類、両生類、哺乳類、そして最後にヒトという階層になっています。
動物は皆、自然という無限といえる刺激の中で発達を遂げてきたし、遂げるようにできているのです。
ですから、発達を促すには自然環境のような無限の種類がある環境が必要なのです。
そういった多様性な刺激の中で、子どもはちょうどよい刺激、ちょうどよいトレーニングを自分で見つけて選択し、発達を遂げていくのです。
人工的で計画された環境にはその多様性がありません。
だから素直でまじめな子ほど、頑張ろうとする。
そしてときにズレを頑張って克服しようとした結果、却って有害になる場合もあります。
子どもが頑張っていたら、それは挑戦という意味の頑張りなのか、マッチングが悪いゆえの対処行動としての頑張りなのか、そのあたりを確認してもらいたいと思います。
「熱中、没頭、心地よい」は〇
「避ける、頑張る、気持ちが悪い」は×
です。
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