【No.1394】アプローチは”結果”である

プロ野球の監督であった野村克也氏は「プロフェッショナルの”プロ”はプロセスのプロだ」という言葉を遺している。
結果が求められ、結果で評価されるプロ野球の世界でも、よい結果を出すためにはよい過程を踏むことが重要なのは変わりがない。
よい過程があるからこそ、よい結果がある。
それはどの仕事でも、私が行っている発達相談でも、発達援助でも、子育てでも通ずる話だと思います。


いろんなところで、いろんな専門家、支援者がアプローチの仕方や療育法を教えてくれます。
しかし、それをそのまま我が子にやっても、部分的に改善することはあっても、根本から治っていくことは少ないといえます。
また一時的に良くなっても、そのターゲットとしていた課題がクリアされても、「じゃあ、その次は?」というところで立ち止まってしまうことも多いのではないでしょうか。
そして「やっぱり私にはムリ」「やっぱり専門家の先生のところに行って、また改善してもらおう、新しい方法を聞いてこよう」となる。


かくいう私も、「大久保さんだからできる」と親御さんに言われることで悩んでいた時期があります。
商売的にはそう言ってもらえた方が何度も利用してくれるし、継続的な利益確保にもつながります。
でも、私がそれをやってしまっては、敢えて独立し、起業した意味がなくなってしまいます。
目指すところは、その子、その人の自立ですね。
自立を目指して仕事をしているのに、その本人や家族を依存させたらだめでしょ。
「継続的な支援」と「自立」は相反する話。
本気で自立を目指すのなら、本人もそうだし、その家族自身でアプローチできる、そして本人の状態によってアプローチを生み出せなきゃダメなんです。


悩んでいた私が出した答えは、こうです。
結局、アプローチは結果。
各専門家が生み出したアプローチには、それに至るまでの研鑽と試行錯誤の歴史、プロセスがあります。
私でいえば、施設職員や学校の先生、また日本の専門家、海外の専門家から見聞きし、トレーニングした歴史があっての「アセスメント」であり、そのアセスメントから導き出される「こんなアプローチが良いですね」となります。
だからいきなり結果であるアプローチを見せられ、教わっても、再現するだけで、人によってはなんとなくわかった感じで終わってしまう。
そうなると、いつまで経っても、専門家頼みになり、外部に答えを求める姿勢のまま、依存関係が続いてしまう。
親が自立できないのに子が自立できるわけがないのです。


ですから私はプロセスをそのままお見せするようにしました。
ご家庭に訪問し、アセスメントするときは、「こういった動きがあったのわかりましたか?」「今の反応がポイントなんです」などと逐一、私がどういったプロセスを踏んでいるかをお伝えするようにしています。
また実際にアプローチをしながら、どこに注目するのか、その意味はなにか、うまくマッチしないときはどこを変えていくのかも一緒に体験してもらっています。
さらにその場では伝えきれなかった部分、私の頭の中ではどういったプロセスを踏んでいたのかを報告書の形にしてお渡しするようにしています。


ぶっちゃけ、私が定期的に通ってアプローチをし、「こうやってください」と逐一指示をしたほうが早いと思います。
でも、繰り返しになりますが、やっぱりそれじゃダメなんです。
親御さんを依存させてはいけない。
また何よりも「外に答えがある」と勘違いさせてはいけないのです。
常に答えはその子自身、その子の内側にあります。
そしてその答えとは、その子が心地よく感じられることであり、自由で伸びやかな雰囲気で生活できること。
ヒトが幸せを感じるのは自由を感じた瞬間。
衣食住満たされているけれども、誰かに監視され、誰かの保護のもとでしか生きられないことは心は満たされない。
ですから親御さんが自由に子育てをし、愉しめることを応援していきたいと思います。
そのために私は「どうしてそのアプローチを導き出したか」までのプロセスを大事にし、お伝えしようとしています。




☆『医者が教えてくれない発達障害の治り方』のご紹介☆

まえがき(浅見淳子)

第一章 診断されると本当にいいことあるの?
〇医者は誤ることはあるけど謝ることはない
〇早期診断→特別支援教育のオススメルートは基本片道切符
〇八歳までは障害名(仮)でよいはず
〇その遅れは八歳以降も続きますか?
〇未発達とは、何が育っていないのか?
〇就学先は五歳~六歳の発達状況で決められてしまうという現実
〇現行の状況の中で、発達障害と診断されることのメリット
〇現行の状況の中で、発達障害と診断されることのデメリット
〇療育や支援とつながるほど、子育ての時間は減る

第二章 親心活用のススメ
〇親子遊びはたしかに、発達に結びつく
〇変わりゆく発達凸凹のお子さんを持つ家庭の姿
〇学校は頼りにならないと知っておこう
〇安定した土台は生活の中でしか作れない
〇支援者が行うアセスメントには、実はあまり意味がない
〇親が求めているのは「よりよくなるための手がかり」のはず
〇人間は主観の中で生きていく
〇専門家との関係性より親子の関係性の方が大事
〇支援者の粗探しから子どもを守ろう
〇圧倒的な情報量を持っているのは支援者ではなく親

第三章 親心活用アセスメントこそ効果的
〇子育ての世界へ戻ろう
〇その子のペースで遊ぶことの大切さ
〇「発達のヌケ」を見抜けるのは誰か?
〇いわゆる代替療法に手を出してはいけないのか
〇家庭でのアセスメントの利点
1.発達段階が正確にわかる
2.親の観察眼を養える
3.本人のニーズがわかる
4.利点まとめ
〇家庭で子どもの何をみればいいのか
1.発達段階
2.キャラクター
3.流れ
4.親子のニーズの不一致に気を付けよう

第四章 「我が子の強み」をどう発見し、活かすか
〇支援と発達援助、どちらを望んでいますか?
〇子ども自身が自分を育てる方法を知っている
〇親に余裕がないと「トレーニング」になってしまう
〇それぞれの家庭らしさをどう見つけるか
〇親から受け継いだものを大切に、自分に自信を持とう

あとがき(大久保悠)


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