【No.1072】with-コロナ時代の発達援助
星野リゾートの社長さんが「道内の人に来てもらえるホテルづくり」という話をしていました。
既に体制を変え、動き出しているようで、今までのようなインバウンド頼みではなく、国内の、北海道なら北海道内に住む人に向けたホテルに変えていくそうです。
どの世界でも、素早く変化に対応できる人が結果を出していくのだと思いました。
そういう経営者がいる一方で、いまだに「補助金ガー」と言っている人達もいます。
これを機に、with-コロナに向かって走りだしている人もいれば、「保障ガー」「国ガー」と言っている人もいる。
どんなことが起きようとも、国が中小企業、一つ一つの世話をしてくれるわけはないのですから、そんなこと言っている暇があるのなら動き出すしかありません。
だって、自分を救うのは自分しかいないのですから。
誰かに救ってもらえる子どもの特権であり、まさに甘えの一種です。
2月の時点では、「若い人が媒介者になる」「無症状者もうつす」と言われていました。
専門家とはいえ、初めての出来事ですから、限られた情報の中で判断する必要があったのでしょう。
実態がわからないときは、やりすぎるくらいやるというのはリスクマネジメントで重要なことだと思います。
しかし、今は6月であり、あれから比べると、いろんなことがわかってきました。
「無症状者が他人にうつすことは稀である」
そういった実態が見えてきたのですから、2月・3月に言っていたことを撤回すれば良いのです。
時間の経過とともに、言っていたことが、信じていたことが変わるなんて、よくあることですから。
「ごめんなさい。あのときは、無症状者が感染に気づかず、他人と接触することでうつすと考えていました」で済む話だと思います。
しかし、どうも、権威がある人、「間違いが許されない」と認識される仕事の人は、謝ることができないし、それがゆえに前言撤回、素早い訂正ができない傾向があると思います。
身近なところで言えば、学校の先生も謝らない。
謝らないからズルズルいって、結局、取り返しのつかないところにきて、どうしようもないから動き出すパターンが往々にしてあるのです。
2013年、『脳の機能障害』が『神経発達の障害』に変わりました。
別に2013年より前、脳の機能障害と考えていた、捉えていた、それに応じて支援・教育を行ってきた、というのは悪いことではないのです。
でも、それから7年が過ぎ、いまだに自閉症は、発達障害は「脳の機能障害である。治ることのない障害である」なんてことを言い続けることが悪いと言えます。
どの世界でも、情報は塗り替えられ、概念や常識が変わっていくのは自然なことです。
そうやって人類は、文化は、テクノロジーは向上していったのですから。
新しい概念・技術を生むのは専門家という一部の人なのかもしれませんが、その概念・技術を選択するのは、利用するのは消費者です。
特別支援の世界で言えば、「神経発達の障害」「診断基準を外れ、治る人もいる」という概念を選択するのは、本人であり、親御さんです。
それを新しい概念が出ているのにもかかわらず、「それは間違いだ」「脳の機能障害と思え」と指示するのは専門家という傲慢さが生んだ越権行為だと言えます。
新しい概念を生むことは大事なことです。
それを研究することも大事なことです。
しかし、研究する人も一人の人間なら、それを知り、利用する人も一人の人間です。
どのように子育てしていかを決めるのは専門家ではなく、その家庭の個人です。
発達に遅れがある子の子育てだけ、その決定権が専門家にあるというのはおかしな話。
専門家はあくまで、その子の、その家族の選択肢を提供するにすぎないのです。
函館は海もあり、山もあり、異国情緒溢れる街並みがある良い場所です。
それなのに、歴史的な建造物のあるエリアに、ドラッグストアが次々と出店し、軒を連ねています。
まさにインバウンド狙い。
しかし今は、ほとんど誰も歩いていません。
パッケージだけ北海道で、中身は道内産ではないお菓子も大量に売れ残り、山積みになっています。
そのようなものを地元の人は、国内の観光客は買ってはいかない。
函館が生き残るには、選択肢を豊かにし、これからの時代に選んでもらえるように変わらなくてはいけません。
函館の観光業が廃れるとすれば、それはコロナのせいではなく、変化できなかった自分たちに問題があるのだと思います。
中小企業の経営者の言う「補助金ガー」は、自閉症の・発達障害の「理解ガー」と一緒です。
インバウンド頼みの大量生産大量消費は、とにかく怪しい子はすべて発達障害にして支援に取り込んじゃえ、とにかく療育を受けさせちゃえ、中身はそれからだ、と一緒です。
これからは個人の豊かさの時代だと思います。
他人がどうだとか、みんながそうしているとか、そんなもので決められる世の中ではないのです。
コロナというウィルスは一緒でも、人それぞれ身体も違いますし、生活・仕事も違います。
とにかく診断名が付けば障害者として生きればいい、みんなが支援を受けているから私も受ける、というのは違います。
一人ひとりが自分で選択し、生活を、人生をカスタマイズしていく必要があります。
子どもだけではなく、親御さんも自立が求められる時代になります。
支援者からの自立、先生からの自立、専門家からの自立も求められていくと私は考えています。
親御さんが自立できるような援助が、with-コロナに向けた私の仕事の変化です。
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