動物性とその発達過程を大切にした支援

新しい知識や技能を学ぶっていうのは、支援者として当然のこと。
日進月歩で解明されていく発達障害とその有効な支援方法。
当然、自分の中にある知識も、技能も、日々、更新していかなければならない。
そういった作業を行っている一方で、忘れてはいけないのが、「ヒトはサルである」ということ。
人類の祖先がチンパンジーの祖先と分かれたのが、600~700万年前くらいと言われている。
そこからとてつもない時間が経って今の自分たちがいる。

ロボットだとか、ITだとか、ここ数十年で、文明的にはすさまじい進化を遂げた。
自閉症、発達障害に限っても、様々な研究がなされ、医療、福祉、教育面で大きな発展を遂げた。
でも、ここで間違ってはいけないのは、発展、進化したのは文化の方であること。
人間が進化したわけではない。
人間の進化の過程と比べれば、文化の進化は、ほんの一瞬にすぎない。
つまり、人類の身体は、現代の文化仕様にはなっていないということ。
限りなく野生の動物たちに近い存在なのだ、私たちは。

新しい知識、技能を得て、何でもわかったフリをするのは、傲慢の一言である。
薄っぺらい知識をかざし、ヒトを語るのはよした方が良い、みっともないから。
「自閉症支援」「自閉症療育」なんてカッコよく言っているが、「ヒトの発達をどう支援していくか」ということ。
ヒトの発達の仕方なんて、ここ数千年で変わるわけはない。
発達の仕方は動物と一緒。
その発達の過程に違いや遅れ、抜けがあるから、そこを支援していくだけのこと。

より良い発達の支援の仕方が見つかるなら、それは喜ばしいこと。
でも、知識や技能などの文化がヒトを超えると思ってはいけない。
ヒトの発達に沿った支援方法なのか、この視点が大事。

「障害よりも、人が先に来るんだ~」なんて声高々に叫んでいる人がいるが、それではまだ浅いと私は思う。
人が先に来るのは当然のこと。
でも、その人も、ヒトでなくてはならないと思う。
そのヒトとは、「人も動物である」ということ。
真の支援とは、ヒトを大事にする支援。
つまり、動物性を大事にする支援。
私は、動物性とその発達過程を大切にした支援を行っていこうと心に決めている。

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