『愛情探し』トレーニング

見えない愛情を見えるようにすることも、大切な支援の一つ。
昨日もこんなことがありました。

お子さんへの愛情たっぷりのお母さん。
将来のことを思って言ったことが、お子さんには「自分を突き放した」とネガティブに受け取ってしまい、言い争いをしてしまったとのことでした。
本人は「疎外感を感じる」と、私に率直な気持ちを伝え、怒りと悲しみの感情を表していました。

私は一緒にお母さんのメッセージ(言葉)に含まれていた想いを考えました。
子どものことが嫌いだから厳しいことを言ったのではなく、より良い未来を築くために考えたお母さんの提案だったこと。
親は"子どもを自立させる"という役割を持っているため、そのような提案をしたこと。
あくまでお母さんは提案をしたのであって、「それをやりなさい」という強制的な指示ではないことなどを確認しました。
このように1つ1つ確認していくと、徐々に落ち着きを取り戻し、最後にはお母さんに対する感謝の気持ちも言っていました。

良かれと思って行った発言も、その意図まで汲み取れず、ネガティブに受け取ってしまうことがあります。
このお子さんもそうでしたし、一番引っかかっていた部分でもありました。
ですから、私は「本当に嫌いだったら、美味しいご飯を作ってくれなかったり、一緒に遊んでくれなかったり、最悪の場合は家を追い出されるんじゃない」と、本人が言うようにお母さんが嫌いだったバージョンの話をしました。
このときのハッとした表情は印象的でした。
視点を自分ではなく、お母さん側に切り替えることで、気づくこともありますね。
私たちが自然に、かつ同時進行で行う視点の切り替え→総合的に判断が苦手だと、このようなサポートが必要です。

このあと、良い機会ですので、お母さんの愛情探しを行いました。
「美味しいご飯を作ってくれる」
「お母さんの体調が悪いときも、家族が困らないように家のことをやってくれる」
「いろいろなことを教えて、応援してくれる人(支援者)を見つけてきてくれる」
「自分が好きな場所に、いつも連れていってくれる」
「誕生日を一緒に祝ってくれる」
など。

家に帰ってきて、大好物な食事が用意されていたら、それだけで大事にされていることがわかりますし、自分が家にいなかったときに親がどのような時間を過ごしていたのかを想像し、ここでも愛情を感じます。
だから、愛情を受け取るには"想像する力"が必要になります。

自閉症の人たちは、物事や状況から想像し、的確に読み取ることが苦手です。
ですが、できないというわけではありません。
愛情は心身の安定と成長につながる源です。
本人も、家族も。
愛情を受け取るトレーニングとして、「愛情探し」やってみたらいかがですか?
愛情が理解できるようになるだけで、問題が解決する場合も少なくないと思います。

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