禁止事項が伝わらない理由

禁止事項を視覚的に伝える方法は、人によっては誤ったメッセージを受け取りかねません。

例えば、「友だちを叩きません」という禁止事項を紙に書いて、掲示したとします。
この禁止事項を見て、「友だちを叩いてはいけないんだ。今度からしないようにしよう」と思う人もいるかもしれません。
しかし、人によっては「友だちを叩いてはいけないんだ。だったら、キックしても良いんだ」というように受け取る人もいます。
支援者としたら、暴力行為全般を禁止しているつもりかもしれませんが、本人から見たら「だって、キックは禁止事項になってないもん」と思っているでしょう。

この他の誤ったメッセージの受け取り方として考えられることは、
友だちを叩いてはいけないなら、"先生"や"友だちとは思っていないクラスメイト"なら良い。
この禁止事項が掲示してある場所では叩いてはいけないけれど、"他の教室"や"家"、"外出先"なら良い
などが考えられます。

自閉症の人たちは字義通りに意味を受け取る傾向があります。
ですから、私たちが「友だちを叩きません」という文字を見たとき、「人に対する暴力行為を禁止しているんだな」というように、文字に表されていない禁止事項を書いた人の"意図"や"社会通念"などを想像する一方で、自閉症の人たちはそのことに注目できず、文字通りの意味で受け取ることが多々あるのです。
そしてこのような場合に、定型発達の人たちは「禁止事項が伝わっていない」と判断してしまうのです。

『禁止事項が増え続ける"負のスパイラル"』へと続きます。

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