地域の書店の障害者関係の書籍コーナー

書店の障害者関係の専門書のコーナーに行くと、気が付くことがないでしょうか?
自閉症関連の本が多く並べてあるのに対して、知的障害について書かれた本がほとんど置いてないことに。
置いてあったとしても、何年も前に出版された本だったりします。

2000年以降、知的障害を持っていない自閉症の人たちがより注目されるようになりましたが、依然として知的障害を持った自閉症の人たちは多くいます。
ですから、自閉症の人たちと関わる学生や支援者は、自閉症についてだけでなく、知的障害についても勉強する必要があると思います。

自閉症の人たちの支援に携わる中で、自閉症者本人のあらゆる行動を"自閉症"と関連付けようとする支援者を私は時折見かけます。
もちろん、自閉症の特性は個人の思考や行動に大きな影響を与えます。
しかし、あらゆる行動が"自閉症"で説明できるかといったら、そうではありません。

以前のブログ(「自閉症のA君?A君は自閉症?」)で書いたように、"person with Autism"です。
個人が自閉症の特性を持っているのです。
ですから、自閉症と同じように、知的障害の個人に与える影響についても考える必要があります。
自閉症だから『視覚的な支援』でOKではありません。
その視覚的な支援を組み立てる上で、本人の認知の仕方や身体の使い方について知ることが必要ですし、どのような目標や支援方法が適当かを決めていく上でも、知的障害の影響は重要な要素となります。
また、個人の思考や行動には、育ってきた環境や学習、性格、その日の体調など、様々な影響があるということも頭に入れておかなければなりません。
幅広い視点を持つことで、より本人に合った支援ができると考えています。

函館に大きな書店ができます。
その書店には、知的障害について書かれた良質な専門書も置いてほしいと願っています。
自閉症支援に携わる者、特に学生の人たちが知的障害について学ぶことが支援の質の向上につながっていくと考えています。
地域の書店にどのような本が置いてあるのか、その影響は少なくないと思います。

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