【No.1436】ADHDは”状態”であって”原因”ではない
「ADHDです」と言われても、その実態、原因は直接、本人に会ってみないとわからない。
腸と皮膚が過敏で、「それだったら、脳も過敏になるよね」というADHDの子もいれば、覚醒状態が常時低いために自ら動いて意識レベルを上げている子もいる。
また排泄(泌尿器系)の未発達があり、常にそわそわしている子もいるし、背骨が育っていなくてそわそわしちゃう子もいる。
同じ背景が「不安」だとしても、愛着形成からくる不安なのか、感覚系の未発達からくる不安なのか、前頭葉の課題からくる情報処理の困難さからくる不安なのか、それぞれに違いがありますね。
あとは栄養の偏り、家庭環境の不安定さや大きな変化が一時的なADHD状態を生むこともある。
私が日々関わっている発達相談でメジャーなのは上記のような要因だけれども、その多くは重複&グラデーションがかかった複雑系です。
だから、診断名よりも、本人からその背景を読み解くことが重要なのです。
「ADHD」という診断名が薬をもらうチケットになっているような気がする相談が続いていました。
親御さんは抵抗したのですが、医師から「それしかない」と言われれば、「このまま辛い思いをさせるのですか」と言われれば、「わかりました」と返事するのも仕方がないですよ。
みんながみんな、情報を持っているわけじゃないですし、つっぱねるだけの胆力を持っているわけではないのですから。
だから問題は「〇〇しかない」と言ってしまう医師であり、専門家。
ADHDは”状態”であって”原因”ではありませんね。
状態を抑えよう、消そうとするのが薬。
状態が起きないように周りが配慮したり、手助けしたりするのが支援。
状態が起きないように学習させるのが教育。
じゃあ、発達援助は?
発達援助はその状態の背景にアプローチします。
その多くに神経発達の未発達やヌケを確認し、そこを育てることでよりよい発達を目指していきます。
発達援助を一言でいえば、子育て。
親御さんが最も多く感じる違和感は我が子をどうやって育てていけばいいか、その子育ての仕方を知りたいのに、専門家から返ってくるのは「対処の仕方」と「支援の仕方」という点。
発達援助の道に方向転換したご家族がどんどん元気になっていくのは、子どもさんがよりよく変わっていくからだけではなく、親として望んでいた子育てができるようになるから。
そんな風に思う先日の発達相談でした。

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