専門知識を増やすことに突き進んできた結果

ある支援者がこんなことを言っていました。
「この地域には勉強熱心な親御さんが多い。だから、親御さんが知っていることで、支援者が知らないということはあってはならない」と。


この発言を聞いて、みなさんなら、どのように感じるでしょうか?
自分が支援者という立場でしたら、「そうだよな。親御さんに尋ねられたとき、わかりません、とは言えないよな。当然、プロだったら、親御さんよりも専門知識が多くなければいけない」と思われるかもしれません。
自分が保護者という立場でしたら、「仕事としてやっている人間が、親よりも知らないなんてことはあり得ない。たくさん勉強して、専門家として頼れる支援者であって欲しい」と思われるかもしれません。


私は、と申しますと、この一言につきますね。
「くだらねー」
この支援者は、ビジネスの支援者であり、治せない支援者だとすぐに分かりましたね。
こんなくだらないことを堂々と言える姿から、この地域の問題が浮かび上がってきます。
この地域は、時間が止まったままです。
それは、この発言が表すように、支援者も、親御さん達も、誤った方向へと努力を続けてきてしまった結果だと言えるでしょう。


親御さんが知っていることを支援者が知らなくても、どーってことはありません。
そりゃあ、「自閉症って何ですか?」「発達障害って何ですか?」というようなレベルは問題ですよ。
でも、ナントカ療法のナントカっていう名称とか、方法とか、知らなくても問題ないでしょ、きちんと本人の課題をクリアし、成長を後押しし、治せれば。
親御さんと知識量比べをして、何の意味があるのでしょうか。


専門知識が増えれば増える程、良い支援ができるのなら、こんな簡単な商売はありません。
だって、とにかく勉強して、とにかく資格を取っちゃえばよいのですから。
でも、実際はそうではありませんね。
生身の人と対峙するのですから、感覚的な部分が重要になってきます。
また知識でなんとかしようとするのは、発達障害を根本的から理解していない証拠でもあります。
人間脳より深い部位と、生まれたあとだけではなく、生まれる前の物語が重要なのですから。


支援者とは腕がすべてであり、結果で評価されるものです。
腕を磨く過程で、専門知識が増えていくのは自然ですが、専門知識を増やすことが腕を上げることだと捉えているのはナンセンス。
こういったナンセンスな支援者たちが、ナンセンスな価値観を親御さん達に与え、結局、「知識は増えましたけど、子どもは変わりません」になるのです。
横文字&専門用語をたくさん知った親御さん達を増やして、どうするの?って感じです。
大事なのは、発達や成長を促すためのエッセンスであって、専門知識ではないんです。


この地域では、「よく勉強している先生」が良い支援者であり、「よく勉強している親御さん」が良い親御さんということらしいです。
いつの時代のお話ですかって感じですね。
こういう単純な思考が、時を止めている原因。
専門知識がなくても、子どもにポジティブな変化があったら、それで良いのです。


「親との協働」と高々に掲げながらも、「親御さんより知識がなくては」なんて考えている時点で矛盾していますね。
子どもを中心に、お互いが持つエッセンスを出し合い、より良い変化を起こすのが協働ではないか、と私は考えています。

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