「自閉症は一生治りません」は勘違いさせる言葉

「自閉症は一生治りませーん」と言うのは構いません。
でも、もう少し詳しく言わないといけませんね。
「自閉症は一生治りませーん」ではなくて、「自閉脳というタイプは変わらないけれど、自閉脳のままで発達も、成長も、改善もします」というように。

「自閉症は一生治りませーん」という言葉は、人を勘違いさせるんです。
我が子に診断がついたばかりの親御さんからしたら、絶望の一言になりますよね。
「なにもやってあげられることはない」と思ってしまう人もいるでしょう。
不治の病のように捉えられ、「できなくても仕方ないね」と思ってしまう人もいるでしょう。

こういったある意味の"勘違い"があらぬ方向へと発展していき、「自閉症の子に努力させてはかわいそうだ。してはいけない」となったり、「勉強やトレーニングよりも、本人が楽しく生活できる方が大事」となったり…。
「一生治らないんだから、国や地域が保障しろ」というような誤った主張、エネルギーの使い方へと変わってしまうこともありますね。
「自閉症は一生治りませーん」という言葉を政治的に利用している人もたくさんいるのが事実なんです。

一つ前のブログにも書いたように、その子に合ったトレーニングができれば、脳の凸凹は変わっていくんですよ。
「自閉症は一生治りませーん」というのは、一生改善も、成長も、発達もないっていうことではないんですね。
発達障害の人も、発達するんです。
子どもだろうが、大人だろうが、死ぬまで発達できる可能性を持っているんです。
これをきちんと伝える必要があるんです。

「自閉症は一生治りませーん」と言う人に、私ははっきり言いたいですね。
この言葉は、本人や親御さんの努力の芽を摘んでしまう言葉だということを。
もし自分が、もし我が子がつらい経験をしていたからって、今の子ども達、そしてこれから生まれてくる発達障害の子の未来までも否定しないでほしいです。
それに自分たちの未来も。

だから、ちゃんと伝えてください。
発達障害の子ども達も成長するし、改善、発達していくことを。
そして発達障害のまま、自閉症のまま、幸せになれる方法も、可能性もたくさんあることも。

コメント

  1. ななつぼし2016年3月5日 19:19

    我が家の自閉っ娘は激しい幼児期や凸凹の学校生活を送り
    自閉症は治りませんが
    穏やかに暮らしております(^-^)
    最初にどうしてもネガティブな情報が入りやすいので
    お先真っ暗感は否めませんがf(^^;
    丁度年金の手続きで事業所から
    埋まれてからの聞き取りがあったのですが
    「今の状態からは想像できない」と言われました。
    成長をあきらめないでほしいですね。
    何度も心折られますが(^^;

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    1. ななつぼしさんへ

      娘さんが成人され、穏やかな日々を過ごされていること、心から嬉しく思います。
      幼少期のご様子からは想像できないくらい成長されたのは、成人式の写真が物語っていたように感じました。
      特別支援が始まって丸10年。
      これからは、あとに続く人たちへの希望の姿、メッセージが溢れるようにしないといけませんね!
      希望の光が見えると、頑張るパワーも湧いてきますから。

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  2. ななつぼしさん…

    頑張って来られたんですね…
    診断も何も受けずに大人になってしまった息子は 今 苦しんでいて…

    ななつぼしさんも 大変だったのでしょうけど…
    娘さんが落ち着いてるということで 羨ましいです…

    私は どうすればよいのか分からず 自分もシンドく
    すっかり 途方に暮れています…

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    返信
    1. TOSCOさんへ

      診断を受けなかったこと
      療育、支援を受けてこなかったこと
      これが苦しみの原因ではないはずです

      診断も、療育も、支援も、受けてきたのに苦しんでいる人もいます
      診断も、療育も、支援も、受けてこなかったのに充実した日々を送っている人もいます

      TOSCOさんご自身のことをこれ以上、傷つける必要はないと思います
      私も一人の子の親ですので、息子の辛さを代わってあげたいと思うことも多々あります
      でも、息子は息子のペースで困難を一生懸命乗り越えようとしているのだと思い、温かく見守っています
      親にできることは、我が子が傷ついたとき、困難に負けたとき、そっと癒せる存在になれるように準備することだと思います

      TOSCOさんの息子さんも、今、一生懸命もがき苦しみ、乗り越えようとしている途中だと思います
      以前よりも、成長している部分もあると私は思います
      もし困難に負けても、TOSCOさんが癒せるような準備をしてください
      そのためには、TOSCOさんが自分自身を責めすぎないこと、そして元気になることです

      ななつぼしさんは、たくさん苦労もされてきましたが、たくさん笑顔も、エネルギーもある方です
      TOSCOさんが少しでも笑顔になれるのでしたら、喜んでお手伝いします
      ご遠慮なさらず、ご相談ください

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    2. ななつぼし2016年3月11日 10:26

      TOSCOさん

      私の書き込みに返信ありがとうございます。
      私は「私がお母さんじゃなかったら娘はもっと成長していたかも」と思うぐらいのダメ母だと思ってました。
      一緒にいるのも辛くて
      たくさんの方々や療育機関に手伝ってもらい
      乗りきった感じです。
      ご自分を責めないでくださいね。
      難しく面倒な子育ては一筋縄ではいかないことの連続です。
      ご自分の趣味や好きな曲を聴いたり
      時には子どもの存在すら忘れる時間を少しでも作りましょう。
      うちの娘も困難なことが治ったのではありませんが
      成長と共に緩やかになっています。
      助けてもらうところは遠慮なく頼りましょうね。

      削除
  3. ななつぼしさんへ

    ありがとうございます…
    子育ては 喜びも多いですけど 苦労も多いですよね…

    社会人になったから…といって それがゴールではありませんし…

    主人は居ましたけど 孤独な子育てだったので 余計に辛かったです。
    今は主人も 理解してくれて 気遣ってくれますけど…

    学校の先生とか 支援者に遠慮しなくても…と言われても ズッーっと「親の育て方が…」と責められてきたので どうしていいのか分からないのが本音です。
    「任せて下さい!」と言われたら お任せするしかないかな…と思いますし…

    専門家って 何なのかな…って わからなくなりました。
    大久保さんのところで 言うことでは無いですけど…。
    大久保さん すみません m(__)m

    ななつぼしさん…
    コメント ありがとうございました。
    お互いに 母親としてこれからも最善を尽くしていきましょう。

    私は まだ何が最善か 模索中ですが…

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