2015年10月19日月曜日

個別指導は、ただ1対1で学ぶことを指すのではない

「個別指導」をただ"指導者と子どもが1対1で学習する"ことだと思っている人がいるようですね。
「個別指導やってます」というので見てみると、「それって見張ってるだけじゃない」というのもあるし、ただ集団ではなく、ただ一斉授業ではなく、個別に勉強しているだけというのもある。
そこら辺の学習塾の個別指導と同じような感覚の人が多いのかな。

自閉症支援における「個別指導」って、もっと奥が深く、個別という意味が「集団で一斉に勉強するのが苦手だから一人で勉強します」っていうのとは違います。
確かに環境面から考えると、刺激に注意や学習効率が左右される人たちなので、刺激の少ない環境が望ましいでしょう。
でも、個別化は環境だけの配慮ではなく、学習形態についても個別化する必要があります。

定型発達の子どもなら、自分に合った学習の仕方(教わり方)では"なくても"理解でき、身に付けていくことができます。
例えば、図で指導された方が分かりやすい子でも、言葉によって説明や指導がされれば、それに合わせて理解し、学んでいくことができます。
しかし、発達障害の子どもの場合は、自分に適した学び方、教わり方ではないと、学習効率ががくっと下がります。
見て理解する学習形態の子が、通常学級で言葉ばかりで説明されているため、ついていけないということはよくあります。
私が勉強を教えている子もまさにそのタイプで、指導の仕方を変えれば、すぐに理解でき、学校の成績もトップレベルまでいった子もいます。

個別指導では、その子の学習形態を見極めることが必須です。
もっと言えば、脳のタイプを掴むこと。
計算問題は得意なのに、文章問題になるとできなくなるなんていうのは、脳のタイプを読み解くには重要な情報です。
他には漢字の読みと書きではどちらが得意か、記憶する問題と考えて答えを導き出す問題のどちらが得意か、九九を覚えるのと暗算はどちらが得意かなど、それぞれ比較すれば、見えてくる脳のタイプがあります。

また、脳の表面ばかり注目するのではなく、もっと深い部分を見ていくことも重要です。
ある子は、九九の中の4と7が出てくる部分だけ覚えられないということがありました。
そこで見えてきたのが、4(シ)と7(シチ)という発音との関係性。
その子は小さいとき、さ行がうまくいえませんでした。
小学校に上がった現在は言えるようにはなりましたが、やっぱり言いづらそうです。
ということは、うまく舌を動かせない→その部分の脳に何らかのバグがある→舌をスムーズに動かせる練習が必要ということがわかります。
この子は動作を伴って学んでいくタイプでしたので、声に出して覚えるのは一旦止め(本当は声も運動なので適した学習法はいるのですが)、九九は手で書いて覚えました。
そして、これとは別に舌をスムーズに動かせることを目指したトレーニングも行いました。
さ行と結びつく勉強があったとき、バグのせいで学ぶ力が落ちるのを避けるためです。

このように個別指導とは、その子の学習形態、脳のタイプに合わせて指導することです。
環境面の配慮も、この脳のタイプに付随することだと言えます。
ただ1対1で指導し、「個別指導をしたら成績が上がりました」というのは、もともとその子に学ぶ力があっただけです。
誰かいないと、勉強する意欲、または集中ができなかっただけ。
それまで勉強できなかった環境側によっぽど問題があったのでしょう。

集団での一斉授業についていけなかったのは、その子の学び方と合っていなかったのかもしれません。
個別指導しても成績が上がらないのは、指導側がその子の脳のタイプをきちんと分析していないからかもしれません。
学習形態に合っていないと、極端に学ぶ力が落ちるのが発達障害の子ども達です。
荒いアセスメントはいけません。
細かく細かく情報を集め、その子の脳のタイプに合った学習環境を用意するのが本物の支援です。
個別指導とは、個別に学ぶことを指すのではなく、個別の脳に合わせて学ぶことを言います。
個別の脳に合わせた指導が受けられないのなら、教科を教えるプロの一般的な学習塾に通われることをお勧めします!!

0 件のコメント:

コメントを投稿