「芋づる式に治そう!」(花風社)を読んで②

2つ目は、「療育は専門家が行うもの」という常識です。

ギョーカイだったら、このような本で紹介されているアプローチは、ウン万円のお金を取って研修に来た人のみに教えるというのが普通の流れです。
しかも、公認制度も作ったりして、「〇回以上、研修を受講した者」「実践報告をして認められたもの」「公認資格は3年ごとの更新」なども考えられます。
第一、こんなにもお求めやすい価格(♪)なんかにしませんし、親御さんなど専門に勉強していない一般の人が読んでも分かるようにはしません。
横文字と統計学のオンパレード。

それが芋本に出てくる横文字は、トレーニング、アプローチ、ワークなどしかありません。
専門知識がない人でも本当にわかりやすく、すらすらと読むことができます。
花風社さんから出版される本は、自閉っこシリーズからずっとわかりやすく、読みやすい、というのが魅力の1つだと思っています。

ギョーカイの専門家というのは、どうも療育を難しくしたいようです。
それはまるで「自閉症療育は専門家のもの」と言っているようにも見えます。
アメリカ人のあの有名なプログラムの研修を受けたとき、「専門家は10歳の子どもが読んでも分かるような資料を作成しなければならない」と教わりましたし、「療育は本人と家族と支援者が作り上げていくもの」と叩き込まれました。
しかし、日本の専門家は、療育を本人や家族の手の届かないところまでどんどん高くしているような印象を受けます。

本来、療育とは、本人やその家族の側にあるものだと思います。
この事業を起ち上げたときも、そんなギョーカイの流れに違和感を持ち、専門家の方に行ってしまった療育を本人とその家族の側に取り戻す、ということをコンセプトに掲げました。
ですから、なるべくやっていることが難しいと感じないように、また本人や家族がやっている意味がわかるような療育に、というのを目指しています。
花風社さんの本を読んでいると、本人や家族が"触れられる"アプローチだと感じています。

お金はかからず、すぐその場で実践できる。
しかも、それでいて効果があるし、副作用はない。
これこそが、本人、家族の求める究極のアプローチ。
でも、これが出回ってしまうと、ギョーカイの方々は困ってしまいます。
療育を利用してくれるからこそ、成り立っていること、得られるものがあるからです。

私のようなすき間産業が必要とならない日を待ち遠しく思っています。
そして、どんどん自分たちで治っていき、支援者の手を借りなくても、発達し、成長し、社会で活躍できるような未来を願っています。
そのためにも、今後ともギョーカイの常識を打ち砕き、新たな常識を築いてほしいと、花風社さんに期待していますし、それができる存在だと私は信じています!

「芋づる式に治そう!」(花風社)を読んで③

http://www.amazon.co.jp/%E8%8A%8B%E3%81%A5%E3%82%8B%E5%BC%8F%E3%81%AB%E6%B2%BB%E3%81%9D%E3%81%86-%E7%99%BA%E9%81%94%E5%87%B8%E5%87%B9%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%8C%E4%BB%8A%E6%97%A5%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8-%E6%A0%97%E6%9C%AC%E5%95%93%E5%8F%B8/dp/4907725930/ref=pd_bxgy_14_img_y
芋づる式に治そう!発達凸凹の人が今日からできること
栗本啓司、浅見淳子 著 花風社

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