発達障害の人たちが精神科を避ける理由

「精神科の薬を飲んでいると就職できないから、精神科にかかることを避けている」
というような発達障害の当事者の方やご家族の話をよく聞きます。
私はこのような話を聞くたびに、「精神科の服用と仕事のスキルとは関連がない」と思いますし、必要な薬を飲むことができない当事者や家族のことを考えると、いたたまれない気持ちになってしまいます。
精神科の薬を飲むことは悪いことでない。
精神科の薬を飲まないといけない状況になったのは、本人のせいではない。

そもそも生まれつきの脳の違いがありますので、気分の浮き沈みがあったり、疲れやすかったり、ストレスを感じやすかったりします。
ですから、これらの症状を緩和するために、精神科の薬を飲むことがあるのです。
これは本人がどうのこうのという問題ではなく、脳の違いですので仕方がないことだと思います。

また発達障害の人たちは、見た目は定型発達の人と何ら変わりはありませんので、理解されないことが多々あります。
周囲の無理解によって、傷ついたり、ストレスを感じ続けたりすることで精神科の薬が必要になる。
この場合は明らかに周囲の方に問題があります。

企業の方が精神科の薬の副作用を心配する気持ちはわかります。
しかし、副作用の症状は事前に把握し対処しておくことはできますし、仕事に支障が出るくらいの薬を飲んでいる場合は本人の気持ちが就職に意識が向いていないと思います。

発達障害の人で夜が眠れなくて、睡眠薬を服用している人はたくさんいます。
夜眠れないために飲む睡眠薬はいけないことなのでしょうか?
仕事ができないなら、それは障害のあるなしに関わらず働くことはできません。
しかし、働く前に"精神科を飲んでいる"ために、入口に立つこともできない状況はおかしいと思います。
このような社会が、直接的ではないかもしれませんが、発達障害の人たちが精神科の薬に頼ることを遠ざけ、結果的に自分自身で苦しみ、さらに就職できないといった負のスパイラルを生み出していることを私たちは知る必要があると考えています。

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