やりとりがパターン化しないように

「一度始めたら、やり続けなくてはならなくなる」
と言うお話を保護者の方たちからよく聞きます。

例えば、"褒める"ということ。
食器洗いを手伝ってくれたときに、「ありがとう」と言ったら、それ以降、食器洗いをするたびに「ありがとう」を求め、言われないとしまいには怒り出すというお話を聞いたことがあります。

家族としては、手伝ってくれたことに対し、感謝の気持ちを伝えることは自然だと思います。
お話を聞くと、最初のころは「ありがとう」と言われることに喜ぶ様子があったそうです。
しかし、徐々に「ありがとう」を求めるようになってきた・・・。

これは食器洗いのあとの「ありがとう」が、本人の中で一つのパターン化してしまった結果ではないかと考えられます。
その場面は見ていないので想像になりますが、家族も同じようなタイミングで、同じ言葉(「ありがとう」)を繰り返したために、自閉症の人たちの好みであるパターン化に引っ張られていってしまったと思われます。

自閉症の人が全員こうなるとは言えませんが、いろいろなことがパターン化しやすい方と接するときは、こちら側の反応も考える必要があります。
上記の食器洗いのあとの「ありがとう」の場合ですと、「ありがとう」以外に「助かったよ」「お母さんは嬉しい気持ちになった」など、感謝の気持ちを伝える言葉を変えたり、言うタイミングや人を変えるとパターン化しづらくなります。
パターン化しないということは、本来の意味である感謝の気持ちを"伝える"と"受け取る"の交流を続けられるということです。

保護者の方の中には、「何かを始めるとやり続けなくてはならなくなるので、何もやらない」と言われる方ややっていたことがパターン化されてしまうと、それに付き合い切れなくなるので、途中でやめてしまうという方がいます。
こうなってしまうと、本人にとっても、家族にとっても、勿体ないことだと思いますので、「自閉症の人はパターン化を好むこと」と「反応の仕方に種類を持たせておくこと」を頭に入れておくと良いと思います。

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