2016年5月2日月曜日

SSTの多くが“知識与える系”の指導

対人関係や社会性の部分で課題がある自閉っ子は少なくありません。
で、そこでよく行われるのが、ソーシャルスキルトレーニング(SST)ですね。
いま、行われているSSTの多くが、「こういった場合には、こうやって振る舞いましょう」的なのが一般的です。
でも、これでうまくいく子と、うまくいかない子の両方がいますね。
何故なら、SSTの多くが知識与える系の指導だからです。

「こういった場合には、こうやって振る舞いましょう」というのは知識ですよね。
知識を増やすことによって、適応力をあげましょうというお話です。
しかし、知識を増やしてうまくいくのは、知らないからできないタイプの子ども達です。
「そうか、謝るときは、笑顔じゃいけないんだな」
「笑顔だと、反省していないように相手から見えるんだ」
「謝るって、言葉だけじゃなくて、態度も大事なんだ」
というように、知らないからトラブルにつながっちゃいましたっていう子の場合は、知識を教わり、知ることによって、ソーシャルスキルを向上させることができます。

一方、知らないからできないタイプではない子ども達、つまり、そこが問題ではない子ども達の場合には、知識与える系の指導ではうまくいかないですよね。
例えば、知識を実行に移すことが難しい子、知識を獲得するのに限りがある子、自分の認識、他人の認識が弱い子…つまり、脳機能の発達の遅れや連携に不具合がある子です。
脳機能に何らかの不具合がある場合、知識の獲得自体が難しかったり、脳内で複雑な思考ができなかったりします。
そういった子に、いくら「こういった場合には、こうやって振る舞いましょう」と知識を教えても、うまくいくはずがありません。

先日も、ある親御さんが一生懸命お子さんにマナーや適切な振る舞い方などを絵と文字で教えられていました。
確かに、その子は絵や文字は読めるんです。
でも、知的障害もあって複雑な思考が難しい子なんです。
教わったことを声に出して言うことはできますが、その意味や概念を理解したり、行動と結びつけることが難しい。
ですから、「おみせのなかではおおきなこえをだしません」というセリフを暗記しているだけなんですね。
そして、お店の中で大きな声を出し、親御さんから叱られる→SST→また大きな声を出す…となって、「私の指導しているSSTのどこが悪いんでしょうか?」ってなる。
SSTの仕方が悪いんじゃなくて、知識与える系の指導が合っていないだけなんですね。

知識与える系の指導がうまくいかない場合は、もっと根本的な指導をする必要があると思います。
脳みその表面ではなく、奥深くから発達を促す感じです。
また脳みその表面を使って理解を促すのではなく、もっと奥深い部分を使って理解を促す方法ですね。
知識が獲得できれば、実践できるくらいの段階まで脳みそを発達させる。
不具合がある部位ではなく、適切に処理できる部位を使っていく。
こういった視点が大事になっていきます。

世の中の多くのSSTは、知識与える系の指導です。
「わからないからできないんです」というのでしたら効果があるでしょう。
でも、知識を獲得しただけでは実践につながらない子、そもそも知識を獲得することに困難さがある子の場合は、あまり効果は期待できないでしょう。
有名な人がやっているSSTだから、エビデンスのあるSSTだからではなく、その子に合ったSST、脳みその発達援助が必要だと思いますね。

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