2016年5月31日火曜日

自分の資質から飛びだすことはできない

私は、「資質から飛びだすことはできない」と思っています。
別の言い方をするならば、「資質を超えることはできない」ですかね。
資質っていうのは、その人が持って生まれたものであって、その資質を磨くことはできますが、新たな資質を加えるようなことはできない、と思っています。
よく「無限大の可能性」なんて言いますが、その可能性は持っている資質の範囲での可能性ってことですね。

支援を始めるときの出発点は、その人の資質を見抜くことです。
問題行動や心身の不調を抱えている人は、得てして自分の資質を活かせていないものです。
自分の資質を活かしていない、自分の資質ではないことをやっているから、問題や不調が起きるとも言えますね。

自閉症の人達は、自分をモニタリングすることが苦手だったり、そもそもの経験が足りなかったりするので、自分の資質が分かっていないことが多いような気がします。
また、他人の評価、言動をそのまま鵜呑みにする傾向もありますので、言った本人は励ましや期待のつもりで「きみには絵の才能がある」とか、「あなたの取柄は優しさだね」とか、「苦手な運動も頑張ればできるようになる」とか言っているのに、「そうか、自分は〇〇なんだ」というように自己像が作られていく場合もあります。
こうなると、自分の資質とは違うことをやってしまう機会が多くなり、その分、失敗も多くなりますね。
100mを15秒で走る資質しかないのに、10秒切ろうと走り続けている感じです。
100mを15秒で走る資質の人には、「あなたは、どう頑張っても15秒でしか走れないよ」「10秒切るのは無理」というのも、支援の1つだと考えています。
そして、「持っているもので勝負しよう」と言い、適切な方向へと軌道修正するのも大事な支援です。

仕事が続かない、就職できない人の支援にも携わりますが、やっぱり問題や不調を抱える人と同じで、資質に合っていない仕事を選ぼうとする傾向が強いんですね。
「なんでその仕事に就いたんですか?」
「どうしてその仕事に就きたいんですか?」
と尋ねると、自分の資質だからではなく、「〇〇が好きだから」とか、「親が、相談機関が勧めたから」とか、「労働条件が良いから」というのがほとんどです。
定型発達の人のように、自分の資質とは異なる仕事に就いたとしても、柔軟に対処できるなら良いのですが、自閉症の人達はそれが難しいこともあります。
そうすると、仕事は続かないし、不調にもなりやすいんです。
ですから、資質に合った仕事を選ぶことが大切です。

自閉症の人は、定型発達の人がオートマで行うことをマニュアルで行うことが多く、その分、能力も、労力も使います。
学ぶにしても、定型が10学ぶところを半分くらいしか学べていないこともあると思うんです。
ですから、無駄のない努力をした方が良いと思います。
無駄のない努力とは、自分の資質を磨く努力です。
自分にない資質や、資質を超える目標に向かわない方が良いと私は考えます。
時間の流れが違うように感じるんですね、私たちとは。

成人の方たちと接していて気づかされることが、できるだけ小さいときから、その子の資質を見抜き、磨いていくようにした方が、豊かな人生へとつながっていくということです。
また日常生活の中に、自分の資質を活かす内容が組み込まれている人の方が、心身の健康状態も良く、充実した日々を送っているということです。
これは自閉の特性の重さ、知的障害の重さにかからわらずです。
持って生まれた資質を大切にするのは、定型も、非定型も変わりませんが、人生に与える影響には大きな差があると思います。

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