愛着形成は哺乳類の脳で

「あなたのことが大切だよ」
「あなたのことを愛しているよ」
なんて言葉で言っても、態度で示しても、子どもとの愛着形成はなされない、と私は思っています。
だって、言葉や態度でのメッセージは人間の脳の部分に届けられるから。

親子での愛着形成って人間の脳じゃなくて、その下の哺乳類の脳の部分に届けるもの。
犬でも、猫でも、親子でじゃれあって愛着形成を行っている。
ということは、人間も、犬とか、猫の愛着形成の仕方と同じ。

人間は知恵を付けたから、「愛している」という言葉や態度、良い服を着せているとか、おもちゃをいっぱい買ってあげてるとか、良い教育を受けさせているとか、そんなんで親子との愛着形成をしようとしてしまっている。
でも、そんなのでは愛着形成はされない。
勘違いしている親から育てられると、子どもは愛着形成ができず、自分の内面に芯ができない。
で、意欲が乏しく、チャレンジ精神が出ず、ちょっとしたことで折れてしまう大人になってしまう。
こんな大人は、自分の内面にある土台の脆弱性を資格や地位、肩書、お金という見えるもので補完しようとしたり、代わりに支えてくれる宗教や占い、パートナー、子ども、友人、愛人などに依存してしまう。

発達障害のお兄ちゃん、お姉ちゃん達と話をすると、子どもの頃、親と目一杯遊んだという記憶がないと言う。
これじゃあ、いけないと思う。
彼らの独特な世界観や感覚の違い、社会性の発達の遅れなど、いろいろな要因はあったかもしれないが、それでも親と目一杯遊ぶことは必要だ。
心の土台を作るために。
つまり、適切な愛着形成を行うため。

本人たちだけではなく、親御さんの中にも心の土台ができていないままの人が多くいるように感じる。
また、支援者と呼ばれる人の中にも。
支援者は、自分より立場の弱い人間を助けることで、自分自身の中に親と築けなかった愛着を受けとろうとしている人も多い。
弱い立場の人間を助けることで、「自分が必要とされている」という感情を持ちたいのだろう。
これも自己治癒のための職業選択の例の一つ。

発達障害でも、定型発達でも、愛着形成を行う方法は、哺乳類になること。
犬や猫の愛着形成の仕方をよく観察し、頭でっかちになった人間が忘れてしまった方法を教えてもらうしかない。
トラブルが起きて相談に来られる当事者の方たちの多くは、親御さんとの関係が崩れてしまっている人も少なくない。
でも、協力してもらえるのでしたら、親御さんに取り組みを行ってもらうし、無理なら私や他の支援者との間で取り組みを行う。
結構、この取り組みを行うと、直接的に相談内容に対する取り組みをしなくても、解決していくことが多い。
それくらい自分の内面に土台を作ることは大事だといえる。

コメント

このブログの人気の投稿

【No.1358】体軸が育つ前の子と、育った後の子

【No.1364】『療育整体』を読んで

【No.1370】それを対症療法にするか、根本療法にするかは、受け手側の問題