2020年10月10日土曜日

【No.1110】2030年以降、『予防』が中心になっていく

近頃は、口に関する勉強をしています。
医学的な咀嚼や嚥下の話はもちろんのこと、機能改善のためのリハビリ、保育の方面からも離乳食、幼児の食事について改めて学び直しています。
それはコロナ後を見据えた準備です。
既にちらほら影響が聞かれてきていますが、来年以降はもっと口に関するトラブルを抱えている子ども達が表面化してくると思います。
咀嚼や嚥下は生きるための基本であり、そこに遅れが出るということは、多方面へ波及してしまいます。
酸素不足、口呼吸によるダメージ、歯茎からの情報探索、言葉の遅れ、手との協調運動、味覚、聴覚の育ち…。
それがさらに、対人面、認知面、運動面の発達に影響を及ぼしていきます。
乳幼児期の子どもにとって、モデルとなる大人の口元が見えないということは大問題です。


私は民間の経営者ですので、今のニーズだけを見て仕事をしていけば、すぐに倒産してしまいます。
生き残っている民間企業を見れば、どこも時代のニーズの半歩から一歩先を歩いているのがわかります。
私で言えば、今のニーズは家庭でのアセスメント、子育ての仕方ではありますが、近い未来はコロナ禍で作られた発達障害の子の遅れをフォローすることであり、その先は発達障害の予防になると考えています。
今までは発達に遅れが見られてからの相談であり、ニーズでしたが、今後も、少子化は歯止めが利かず、一方で診断を受ける子が増えるでしょうから、妊娠が分かった親御さん、出生後、さあ、子育てを始めていこうという親御さんからの相談、ニーズが出てくると予想しています。
2030年代には、「発達の遅れが出てから」から「発達の遅れが出る前に」になると思います。


以前からそのように考え、準備していましたが、ここ1、2年でさらに強く思うようになりました。
それは発達相談の低年齢化です。
もう今では2歳代の子のご家族からの依頼には驚かなくなりました。
1歳代の子も珍しくはなくなったのです。
1歳代で診断をつける意味がわかりませんが、実際、診断をつけられる子が増えているのも事実。
この先、0歳代の子のご家族から依頼があったらどうしようかと思う一方で、それが将来のニーズである「予防」を連想させるものでもあります。


同じように「先に先に」という流れを感じることがあります。
来年度に就学を迎えるお子さん達は、夏から秋にかけて就学相談や就学時健康診断が行われる時期です。
就学は一つの重要なポイントになりますので、就学に関する相談や準備についてのニーズは高いのですが、夏を過ぎると今の年長さんからの依頼がガクッと減ります。
そして年中さんからの依頼が一気に増えていきます。
3年前くらいまでは、就学を控える年長さんからの相談が中心だったのに、ガラッと年中さんに中心が移り、年少さんくらいから「就学までの準備として、できることを」というご家庭が増えてきました。
お受験とは違うのですが、できるだけ早い時期から就学の準備を、就学に支障が出るような発達課題のクリアを、と希望される姿が重なって見えることがあります。


タイムリーな情報とともに生きてきた世代の親御さん達が増えていけば、「より早く、より効率的に、リスクは最小限で」という方向で進んでいくと思います。
当然、それは子育てにも表れていくでしょう。
「より良く育てよう」という中に、発達のリスクを最小限にという部分も入ってくるはずです。
そういった2030年以降の未来から今を見れば、ここからの10年間は移行期になります。


就学までに、6歳までに発達の課題をクリアしておくというのは、スタンダードになるでしょう。
ですから、乳幼児期の子どもさんを想定した発達援助を磨いていかなければなりませんし、当然、この時期の主はお子さん本人というよりも、親御さんになりますので、その親御さんへの説明、助言の仕方の工夫と、親御さん自身の健康、主体性、発達課題、愛着の課題などをクリアすることの助言が重要になっていきます。
今は7対3くらいの感じで、お子さんと親御さんのアセスメントと助言を行っていますが、もしかしたら逆転するくらいがよいのかもしれません。


一方で低年齢化が進めば、6歳までに課題をクリアしきれない家庭も多く出てくるはずです。
そうなれば、クリアできないことの不安と、6歳が近づいてくる焦りを抱える家庭が増えていくと思います。
そういった家庭に対する助言と前向きな子育てに繋がるための後押し、そして次のポイントに向けた準備の提案ができなければなりません。
発達のパターンとして、ゆっくり神経が繋がっていく子がいて、それが青年期、成人期になる人がいるのも事実。
長い時間をかけて育っていく家庭の力になれるよう、そのように時間をかけて育ち、課題をクリアしている今の若者たちから学ぶ必要があると思っています。


「予防」が主になれば、私の仕事はとてもシンプルになりますし、あまり悩む必要はなくなると思います。
当然、私の仕事のニーズもなくなっていくはずです。
リスク要因は明らかになっていますし、仕事を通した関わりの中で蓄積され、見えてきた要因もあります。
それぞれの運動発達におけるポイントも決まっていますので、あとはそれを辿っているかを確認し、できていなければ親御さんにフォローの仕方をお伝えする。


今のところの結論からいえば、もともとその要素をもっていたかどうかよりも、環境要因のほうが発達に大きな影響を与えると思います。
「発達に遅れが出る状態、環境をそのままにしておかない」
これが「予防」のポイントであり、2030年以降の援助の柱になると考えています。
あとは親御さんに「動物としての育ち」「動物としての子育て」を改めてお伝えし、気づき、実感してもらうことも。


10年後もこの仕事をしているかはわかりませんが、10年後に向けた準備はしています。
私は民間企業であり、過去ではなく、未来をよりよくするための仕事をやっていますので。




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