2013年9月1日日曜日

長所を伸ばすか?短所を無くすか?

どちらの方向性が良いのか、人によって意見が割れる。
ある人は、「長所を伸ばすことによって、短所が目立たなくなる」と言い、またある人は、「短所が大きいと、長所まで消してしまう」と言う。
人付き合いが苦手で、身の回りのことがまったくできないが、一つ人より優れた才能を持っているだけで、周囲から称賛される人がいる。
反対に、重大な短所があるばっかりに、表に出られず、才能まで否定される人もいる。
どちらの方向性が良いとは言い切れず、そのバランスが重要なのかもしれない。

しかし、自閉症の人たちの支援については、「長所を伸ばす」方が望ましい、と私は考えている。
その理由は2つある。

1つ目の理由は、自閉症の人たちの捉え方の違いがあることだ。
例えば、服のチャックがうまく閉められない人がいるとする。
そんな場合、服のチャックが閉められるようになるため、親や教師から指摘されたり、練習させられたりすることがある。
定型発達の人なら、「服のチャックが閉められることは必要なことなんだ」「お母さんは、私にチャックが閉められるようになってほしいと願っているんだ」というように、指摘や練習の背景にある意図を読み取ることができる。
しかし、自閉症の人たちの場合、定型発達の人とは違う捉え方をする場合がある。
自閉症の人たちの中には、相手の視点を想像することが苦手な人が多くいる。
そのような人たちは、なぜ指摘や練習がさせられるのか、意図をうまく捉えることができない。
そうなると、「自分が苦手としていることをただやらさせられている」と感じてしまう。
実際に、「この人は、自分をいじめているんだ」と捉えてしまった自閉症の人もいる。
自閉症の人たちは、定型発達の人とは違う捉え方をするので、短所ばかり注目する支援はあまり望ましいとは言えず、短所を無くすような支援を行う場合でも配慮が必要である。

2つ目の理由は、苦手な理由が自閉症の特性に関連したものがあることだ。
なぜ、それが苦手なのか、その理由はいろいろある。
ただやりたくないのか、苦手意識があるのか、教わったことがないのか・・・。
このような理由なら、努力してできるようになるかもしれない。
しかし、その苦手さが自閉症の特性からきているなら、努力だけでは乗り越えられない。
上で挙げた「服のチャック」の例なら、身体をうまくコントロールできないことや指先の感覚がうまく把握できないことなどといった自閉症の特性が影響していることも考えられる。
その場合、いくら練習してもできるようにならない場合がある。
よって、苦手な理由が自閉症の特性からくるものである場合があるため、短所ではなく、長所を伸ばす方が望ましい、と考えている。

あるお母さんが「仕事の全部はできないけれど、この子が得意な部分だけやらせてもらえれば、普通の人と同じように、またはそれ以上に働けるのに」と言っていた。
私もそのお母さんと同じように、長所に注目し、その長所を伸ばし、生かしていくことが、自閉症の人たちを輝かせることにつながる、と考えている。
「得意なことを得意な人がとことんやる」方が自閉症の人たちに合っているのだ、と私は思っている。

0 件のコメント:

コメントを投稿