"柔軟"は無理?

自閉症の人が柔軟な行動や考えを持てないかと尋ねられれば、私は「可能」だと答えます。

自閉症の診断基準にもあるように、同一性を好んだり、変化に対する抵抗があったりと、決して柔軟的な行動が得意とはいえません。
しかし、私が関わってきた自閉症の人たちの中には、小さいときは固執が強く見られた人も、年齢を重ねていくなかで固執的な部分が目立たなくなり、変化に対しても応じられるようになる人が多くいます。

柔軟的な行動には、物事の意味や関連性がわかる必要があります。
いろいろな状況を学習することは、変化があったときに落ち着いて対応できることにつながります。
成長とともに物事の理解が進み、わかる世界が広がったことが、固執的な部分が目立たなくなり、変化に対しても応じられるようになったのだと思います。

自閉症の人たちは柔軟性が欠如しているわけではありません。
柔軟的な行動や考えにつながる物事の背景を捉えることが苦手だったり、物事と物事の関連性を掴むことが苦手だったりするだけだと思います。
丁寧に1つずつ学習を進めていければ、柔軟な行動や考えを持つことも可能だと考えています。
臨機応変に判断し、行動できるようになることは自閉症の人にとって難しいことかもしれませんが、行動や考え方の幅を広げていけることは十分可能だと考えています。

 

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