視覚的構造化=水戸黄門の"印籠"!?

「このスケジュールが目に入らぬか~!」
「あ、あれは自閉症の人たちに有効だと言われている"視覚的構造化"では」
「はっはぁ~、スケジュールの通りに動きますぅ~~~」
というようにはなりません。

そもそも視覚的構造化は、自閉症の人の持ち物であって、支援者の懐から出てくるようなものではありません。
また、印籠のように自閉症の人をコントロールするものでもありません。
視覚的構造化はコミュニケーションの受信を助けるもの、つまり"支援者の伝えたいことがわかる"というものです。
他にも、自閉症の人の注意を向けやすくするためや情報を整理することを助けるためという要素もありますが、自閉症の人の理解を助けるものであることが視覚的構造化の包括的な意味となります。

視覚的構造化を提示したとき、自閉症の人がその提示されたとおりに動かないことがあります。
その理由としては、
①表示の内容、レベルが自閉症の人の理解度と合っていない
②そもそもわかりづらい作りになっている
③示された行動をするためのスキルを自閉症の人が持っていない
④言いたいことはわかるが、やりたくない、他にやりたい行動がある
などが考えられます。

特に私が強調したいのは④の理由。
気分が乗らないときだってあるし、他に魅力的なことがあれば、そちらをやりたいのは自然な気持ちです。
定型発達と言われる私たちだって、他人から言われたとおりに動きたくないこともありますよね。
自閉症の人たちの行動を決定するの、自閉症の特性だけではなく、その人が持つ性格や気分、調子など、個人の持っているすべての気質です。
「わかっちゃいるけど、やめられない」ということは、みんなありますよね。

「視覚的に示したんだから、この通りにやりなさい」
「やらないあなたが悪い」など、水戸黄門みたいな支援者になってはいけません。
私たち支援者が行うことは、視覚的構造化で示したことを自閉症の人が魅力的で、やってみたいという気持ちが持てる活動にしていくことだと考えています。
魅力的な活動は、視覚的に示していなくても、みんな飛びついていきますよね!!

コメント

このブログの人気の投稿

【No.1358】体軸が育つ前の子と、育った後の子

【No.1364】『療育整体』を読んで

【No.1369】心から治ってほしいと思っている人はほとんどいない