2020年7月21日火曜日

【No.1086】アセスメントは仮説力

親御さんからしばしば「子どものどこを見ているのですか?」というご質問を受けます。
他にも、「どういった順番で、子どもの発達を確認していけばいいのですか?」ということを尋ねられる方もいます。
「発達には順番がある」
「この課題は、ここの部分とつながっている」
そういった知識を持たれた親御さんが増えたからこその質問だと、私は感じています。


「発達には順序性と関係性があるのだから、支援者には決まったアセスメントの流れ、確認すべきポイントがあるのだろう」
そんな風に思われている親御さんもいるように感じます。
実際、私のアセスメントが始まりますと、「今、どこを確認したんですか?」「どこから見ているのですか?」「次は?」と質問される方もいます。
しかし、どこを最初に確認するかとか、ここを確認した後はここをとかはありません。


じゃあ、どういった流れでアセスメントをしているのか?
一言で言えば、雰囲気です。
「このお子さんは、身体から確認したほうが良いかな」
「認知や言語力かな」
「遊びから発達の状態を確認しようかな」
そんな風に、その子の雰囲気から感じたままでアセスメントを行っていきます。


こういう風に言うと、「やっぱり、アセスメントは専門家だからできるんだ」「アセスメントは経験豊富な人しかできないんだ」などと思われてしまいます。
でも、これは私の意に反しますし、私の仕事のゴールとは異なってしまいます。
私に対する依頼の多くはアセスメントになりますが、そのアセスメントの仕方、視点を親御さんにお渡しすることが仕事の目的だと考えています。
著しい変化が見られるお子さんのアセスメントを、その都度、支援者に依頼して行うのでは子ども達のためにもなりません。


アセスメントの基本は、一緒に生活する親御さんがタイムリーに行うことです。
素早く変化に気づくからこそ、そのとき、必要な刺激、環境、子育てを創造し、実行することができるからです。
「アセスメント」というと、高度で、専門的な雰囲気を醸し出しますが、やっているのは子どもを丁寧に見ること、その変化をしっかり捉えることです。
アセスメントは特別なイベントではなく、日々の子育ての一部です。


「支援者は」と言うと大げさになりますが、私のアセスメントの仕方はこうです。
まずは、お子さん全体を見る。
イメージで言えば、部分を詳細に見るのではなく、ぼやっと全体を見る、その子の雰囲気を見る感じです。
ここでなにがポイントかと言いますと、全体の調和を確認することです。
お子さん全体を見て、何か違和感を感じるところはないか、それがあったら、まずそこを切り口に確認していきます。
また、発達障害のお子さんに関しては、全体的に発達が遅れているのか、部分的に遅れているのか、または進んでいるのか、を捉えます。
事前情報をあまり入れないのは、この最初の全体を掴むときに純粋に感じたいからです。


全体的な姿を見たあと、すぐに仮説を立てます。
アセスメントは、見るポイントが決まっていて、そこを1つずつ確認するのではなく、支援者が感じたことを元に仮説を立て、それを確認していく作業を言います。
「動きのちぐはぐさは、ハイハイのヌケじゃないだろうか」
「全体的に発達が遅れているのは、首が育っていないからじゃないだろうか」
「よく躓くのは、立体視が育っていないからかもしれない」
「話が聞こえていない。じゃあ、三半規管の育ちを確認してみよう」
こんな感じに、自分の頭の中で仮説を立て、次々に確認していきます。
そうやって、その子のどこに発達のヌケがあるのか、課題の根っこはどこか、どこを育てると生きやすくなるか、を探っていきます。


私が考えるアセスメント力とは、この仮説を立てる力、豊かさです。
経験が浅いときは、この仮説を立てることが難しいのです。
なんとなく、全部、障害特性に見えてしまいますし、どこか課題のポイントを見つけたとしても、それが何と繋がっているのか、どこを確認すれば明らかになるのかが分かっていませんでした。
そういった段階から経験を積んでいき、多くの仮説を立てられるように。
そして、たくさん仮説を立てられるようになったあと、余分な仮説を立てずに的確なアセスメントができる段階になります。
今振り返っても、「えらい遠回りしてアセスメントをしていたな」と自分でも思います。
発達相談後にお送りする報告書が年々シンプルになってきたのは、すこしずつでも前に進んでいると気づかせてくれます。


気づかせてくれると言えば、明日から広島出張です。
ありがたいことに、今年で3年連続の訪問になります。
某市の支援員さんと3日間、発達相談を行わせていただく予定です。
いつもは一人で家庭訪問をするので、客観的に私の仕事を評価してくれる人がいませんが、この広島出張では支援員さんから私に対してもいろいろと感想を聞くことができます。
私より経験豊富で、信頼できる支援員さんです。
支援員さんからどんな言葉を貰えるか、一年前の自分と比べてどうか、ちゃんと成長できているか、その辺りも楽しみにしています。
明日移動で、明後日から3日間、広島の皆様、どうぞよろしくお願い致します。




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