2016年10月23日日曜日

ヒトのみが時計を使う

道具を使う動物は、ヒト以外にもいます。
でも、そんな道具の中で、ヒトしか使わないものもあります。
それは時計です。


学習すれば、人の言葉がわかったり、電子機器を操作したりできる動物はいますが、時計は使いこなすことができません。
何故なら、ヒトだけですから、何時間も、何日も、何年も、何十年もの先を意識できるのは。
将来の展望を持ったり、計画を立てたりできる。
そして、その将来を意識し、今の自分の行動を選択することができる。
これこそが、ヒトのみが手に入れることのできた能力であり、脳力だといえます。


以前、私は、このような人達のことが嫌いでした。
「助けて欲しい」「アドバイスが欲しい」と言って、改善や成長できる方法を受け取ったのに、それをやらない人、やっても続かない人。
すぐに効果が見えないと、やめちゃう人、「やっても意味がなかった」と言う人。
でも、“人のみが時計を使う”という言葉が思い浮かんでからは、捉え方が変わりました。


このような人達は、心の問題ではなく、脳の問題ではないのか、そのように捉えるようになったのです(もちろん、甘えや怠け、誤学習の問題の人もいますが)。
つまり、未来を見通す脳力に原因がある。
それは、脳へのダメージや疲れかもしれないし、脳の未発達かもしれない。
脳の未発達は、高度な脳の部位自体の遅れ、他の部位との連携の不具合、もっと原始的な部位の不具合、発達の遅れorヌケがあるかもしれない…。
こんな風に、推測し、見立てを持つようになると、私のすべきこと、その人に伝えなければいけないことが変わるのです。


週に1回、セッションを受けても、相談してアドバイスをもらっても、根本的な変化はありません。
大事なことは、自分でも、家庭でもやってみることです。
コツコツ積み重ねていかなければ、実際に行動しなければ、受け身ではなく、自発的に行わなければ、能力、スキル、知識、成長、変化を得ることはできません。
日々、子どもたちや若者たちと接していますが、どんどん成長していくのは、コツコツ積み重ねていける人ばかりです。
「もう支援はいりません」と言って、社会に出て行った人達は、将来の展望、計画を自分で立てられる人ばかりです。


ですから、将来の展望、計画を持つことができ、それを意識して今の行動を選択できるのが最終目標だと考えています。
でも、その前段階に、自分でコツコツ積み重ねられる姿勢が必要であり、未来の見通しを持つ能力が必要です。
行動できない人、続かない人、未来のことを尋ねられると、「わかりません」「考えられません」と言う人は、未来を見通せる脳の状態になるための援助が必要なのだと私は考えるようになり、そのための行動をするようになりました。


「学校に行かなくてもよい」「嫌なことは、無理にする必要はない」などという声も聞かれますが、私はそう思いません。
確かに、学校に行かなくても、知識を得ること、社会性を養うことはできるでしょう。
しかし、例え学校に行くのが嫌でも(いじめ等の理由ではなく)、通うこと自体に脳を育てる意味があると思うのです、特に人間らしい脳の部分で。
「将来の展望、計画の見通しを持つことができ、今の行動を選択できる力を養う」というのは、学校という存在に凝縮されているとも思えるのです。


自分の資質を磨き、社会の中で活かす人、発達障害が治っていく人は、みなさん、自分で(大小関わらず)目標を立て、将来に向かって実直に歩んでいける人ばかりです。
つまり、そういう能力、脳力を子ども時代から養っていけた人ということだと思います。
「時計が使える脳の状態」というのが、養っていける準備ができた状態と私は捉えるようにしています。

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