地域が問われない時代、問われるものは?

スマホを使えば、簡単に情報が得られる時代です。
ですから、治したい人、一生涯の支援ではなく、育んでいきたい人にとっては、良い時代になったのだと思います。
以前ですと、地域によって違いがありました。
どういった資源があり、どういった学校、支援者がその地域にいるかが、子ども達、親御さん達に大きな意味をもたらせていたといえます。
「先進地域」などという言葉が使われたことが、それを物語っていたと思います。


でも、今は「先進地域」などと言われません。
何故なら、先進的な“地域”はなくなったから。
あるのは情報であり、その情報を得ているか、どうかの違いになりました。
地域に関係なく、治したい人が治していける時代になったのは歓迎すべきことだと思います。


特に、成人した方達にとって、「地域が問われなくなった」というのは素晴らしいことです。
自らの意思と主体性で支援を、生活を、人生を選択できるようになったのです。
昔のように、障害を持った人を地域の支援者、支援機関が結託して鳥かごの中に押し込めようとしても、「こんな支援、方法がある」「全国には、違った選択をし、自立できた人もいる」と闘うことができます。
そして全国の心ある人達と繋がることで、自分の身を守ることができるようになったのです。
どんなに辛い状況だったとしても、主体性を失っていない限り、自ら治していけるし、治すアイディア、育むアイディアを持っている人と繋がることができます。
ですから、どんな地域に住んでいようとも、たとえ味方が周りにいなかったとしても、応援してくれる人を求め、全国に心と身体を動かすことができるのです。


若者や成人した人達にとって、素晴らしい時代になったと言えますが、子どもにとってはそうとは言えない現実があると思います。
何故なら、自分以外の意思と選択に左右される可能性があるから。
つまり、親御さん次第で、大きく変わるということです。


情報を自由に選べるということは、偏りが生じるのです。
情報がたくさんあるからこそ、親御さんの選択によって近道にもなれば、遠回りにもなる。
ある意味、迷子になる子が出てくる時代。


地域に固定されていた時代、左右されていた時代は、みんな同じ方向に進むので、良い結果、残念な結果というゴールは違いますが、その子だけ迷子になる可能性はなかった。
地域も、その子ども達、若者たちに合わせて設計されていきますので、そういった面での生きづらさはなかったといえます。


でも、今は違います。
情報を自由に選択できるということは、同じ地域にいたとしても、その子の未来に大きな違いが出てくるのです。
治そうとする親御さん、育もうとする親御さん、自立を目指す親御さんと、一生涯の支援、社会の理解ガー、対処療法と外注子育ての親御さんとは、まったく異なる道を歩むことになります。
つまり、親御さんの姿勢、情報の選択、主体性と行動力が問われるのです。


素晴らしい実践家の先生を求め、各地に足を運んだり、書籍やネットから情報を得たり、治している親御さんとつながったりする親御さんがいます。
一方で、当日が近づいているのにもかかわらず、定員の数の1割も満たない高名な先生方、特別支援の世界をリードされている方達の講演会に、サクラとして動員させられる親御さんもいます。
地域の支援者から、同じ親御さん同士から目を付けられないように、ポイントを稼ぐために、やりたくない雑用を断らず、引き受けちゃう親御さんもいます。
こういった姿勢の違いが、子どもの未来に関わってくるのは当然です。


自分のポジションを守るため、自分の愛着の課題を癒すために情報収集している親御さんの子は、後回しになります。
まずは、親御さん自身が治る必要があるから。
自己治療のための情報を得たあとに、子どものための情報を探すことになるから。
でも、実際は、子どもの情報を得るまでに至らない親御さんが多い。


「うちの地域は…」という文言は、ただの言い訳という意味しか持たなくなりました。
地域に関係なく、治している人は治っているし、自立している人は自立しているから。
しかも、地域の支援を利用することなく、自分自身で、家族とともに育むことで。
せっかく全国どこでも治していける時代になったのですから、支援者の一生涯の支援を受けなくても働き、自立できる時代になったのですから、その時代の素晴らしい面を享受していきましょう。


生物は強いものが生き残るのではなく、環境に適応できたものが生き残る。
これからの時代で言えば、自らの手足を使い情報を得て、主体的に選択しながら、より良い未来を築いていける者が、豊かな人生を歩んでいけるのだと思います。

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