2018年3月3日土曜日

子どもの絵と発達

子どもさんが描いた絵は、たくさんのことを教えてくれます。
今、どれくらいの発達段階か。
今、どのように世界を見ているのか。
今、どのように自分の身体を感じているのか。
今、何を育てたくて、何に困っているか。


私は可能な限り、子どもさんが描いた絵を見せていただきます。
セッション開始前や本人と会う前に見せてもらうことで、子どもさんの発達のイメージを自分の中に描きます。
またセッションの経過とともに変化する絵を見て、発達の進み具合を確認し、新たな課題を教えてもらいます。


世界中、文化に関わらず、同じ年代の子は、同じような絵を描きます。
絵も心身の発達と同じように、みんな同じ表現、プロセスを経て発展させていきます。
ですから、脳と身体の発達が絵に表れるのです。
絵を見れば、だいたい定型発達の子どもでいうところの何歳くらいの絵なのかがわかります。


また脳と身体の発達段階だけではなく、その子が感じているものがストレートに表れます。
自分の外の世界をどのように捉え、何が見えているか、何に意識が向けられているかが絵に表現されますので、ここに一人ひとりの違いが出てきます。
同じように、自分の内面に関しても、どのように捉え、何を感じ、意識が向いているかが表されます。


子どもというのは、とても賢い存在であり、自分の状態、何が必要なのかを感じることができます。
自分の発達に必要な動き、遊びを自ら進んで行うように、絵にもしっかりそれを表現します。
背中を育てたい子は、背中を育ててほしい絵を描きますし、関節を育てたい子は、関節を育ててほしい絵を描きます。
ですから、私はそういった声を絵から聞き、実際のアセスメントや発達援助の参考にしています。
そして幼い子の場合、また言語面での発達に遅れがある子の場合、育てて欲しいこと以外に、感覚面や身体面、日常生活での課題や困っていることが絵に表れることもあるので、その辺は素早くキャッチできるよう心掛けています。


このように絵は、実際のアセスメントと発達援助を補助する情報を与えてくれるものです。
しかし、残念ながら参考にならない絵もあります。
それは描かされた絵、教えられた絵です。
一見すると上手で素晴らしい絵に見えるのですが、絵を描く“技術”として身につけ、描かれたものからは、本人の姿が見えてきません。
時々、「絵はこうやって描くものだよ」と教わったんだな、と感じる絵があります。
もちろん、絵を描く技術を教えるのも、それを学び、身に付けるのも悪いことではありません。
ただ私は美術の先生ではなく、発達援助に携わる者として、その子らしい自由な絵の中にヒントがあると言っています。


あと勘違いしていただきたくないのが、「絵が上手に描けるようにすることが、その子の発達を促すことになる」ではないということです。
たまに「じゃあ、絵の教室に通わせたら…」とおっしゃる親御さんもいますが、そうではないんですね。
あくまで絵に今の発達状態が表れるということであって、絵の練習をしたから発達するわけではありません。
まあ、絵を沢山描いたら、目や手の動かし方などは発達すると思いますが。
上手な絵が描けることと、絵が発展していく、変わっていくは違う話になります。
絵が発展し、変わっていくのは、心身が発達した証。
伸びやかに発達、成長した子は、伸びやかな絵を描くものです。


相談いただいたメールに、写真や動画、絵が添付されていることがあります。
もちろん、どれも貴重な情報に違いなく、有難いのですが、私にとっては絵が一番イメージの湧きやすいものになります。
写真や動画の方が情報量としては多いのですが、どうしても撮影者の陰が入るような印象なのです。
当然、親ですから少しでも良く見せたくなりますし、また想いが強い分、その想いが写真や動画に乗っかって編集される場合があるように感じます。
ですから、お子さんが自由に描いた絵が一番純度が高く、ストレートにその子の姿が表れると思います。


自分の子が今、どんな絵を描いているかに注目されるのも良いと思います。
また過去の絵と比べてみて、どのような変化があったのか、それも我が子の成長の歩みを教えてくれるものになります。
是非、お子さんの絵を見てください。
もし絵を全く描かないのでしたら、親子で一緒に絵を描き、楽しむことから始められたら良いかもしれません。

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