2013年8月5日月曜日

ちょうど一年前

ちょうど一年前、私はアメリカの地に立っていた。
どうしても行きたかったノースカロライナ州。
学生時代、「ノースカロライナ州に住む自閉症の人たちの90%以上が施設や精神病棟ではなく、地域で生活している」という話に驚きと疑いの感情を持った。
「どんな優れた療育、システムがあるのだろうか?」
「90%以上という高い数字には何か裏があるのではないか?」
「でも、本当にそのような場所があるのなら・・・」

私はノースカロライナ州で行われているTEACCHプログラムのビデオを何度も繰り返し見た。
本も論文も研修報告書もTEACCHプログラムに関わることなら、何でも読んだ。
TEACCH部のスタッフが行うトレーニングにも参加した。
でも、自閉症の勉強を始めて10年間、頭の片隅には「いつか、この目で」という思いが常にあった。

成田を出発し、アメリカで乗り継ぎ、アメリカ・ノースカロライナ州へ。
15時間の長旅だったが、10年の月日と比べれば、あっという間だった。

私は「本に書かれていないこと」を聞いたり、見たりすることを研修の目的とした。
なぜ、このプログラムは成功を収めているのか?
成功していると言われている一方で、課題はないのか?
今後、どのような方向に向かっていくのか?
そして、実際に自閉症支援に携わっている人たちが、どのような考えを持ち、どのようなことを目指しているのか、を尋ね続けた。
等身大の、実物の、生の自閉症支援を見たかった。

研修中、毎日が刺激的だった。
見るもの、聞くもの、そして、一緒に行った仲間たちとの日本の話に。
今まで学んできたことの一つひとつが結びつき、知識として頭にあった文字が立体的なものに変わっていくことを感じていた。

日本へ向かう飛行機の中、何か使命感を得たような気がしていた。
今まで学んできたことを、函館に住む地域の自閉症のみなさんに還元したい。
いや、実際に目にしてきた者が優れた部分を伝えなくてどうする!

見たもの、教わったものをそのまま、地域に取り入れてもうまくいかないだろう。
大切なのは、模倣ではなく、融合だ。
ノースカロライナ州で成功したプログラムは、ノースカロライナ州の文化と融合して生まれたものである。
だから、そのまま持ってきてもうまくいかない。
日本、函館の文化と融合し、変化させていく必要がある。
自閉症の文化、TEACCHプログラムの文化、そして函館の文化の融合。
それぞれの文化の良い部分を取り入れ、地域で生活する自閉症の人たちのために新しい文化を作っていくことを目指している。

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