2013年8月1日木曜日

自閉症の前につく"軽度"と"重度"の意味

「重度自閉症」「軽度自閉症」という言葉が独り歩きしている、と感じることがあります。
インターネットで"自閉症"を検索すれば、重度や軽度の言葉が一緒についてきます。
なぜ、自閉症と言わず、わざわざ"軽度(重度)"とつけるのかな、と疑問に思うことがあります。

私は支援を行う上で、"軽度(重度)"という情報に対して、あまり重要とは思っていませんし、反対に意識しないように心掛けています。

どうして重要と思っていないかと言いますと、その評価の仕方に関係しています。
簡単に書くと、自閉症の特性を多く持っていたり、その一つひとつの特性が本人の行動や思考、反応に強い影響を与えていたりすると、"重度"の自閉症ということになります。
反対に、自閉症の特性が少なかったり、特性の表れ方が弱かったりすれば、"軽度"の自閉症であり、"軽度"と"重度"の間だったら、"中度"自閉症と評価されます。
評価はすべての項目の合計点で決められますので、どんなに表れ方が強い特性があったとしても、他の特性が弱かったりすると、"軽度"と評価されることもあるのです。

ここでのポイントは、表れ方を見て、評価するということです。
表れ方ですので、いつ、どのような状態のときに見るのかで評価が変わってきます。
感覚の過敏性なら、年齢や心身の状態によって変わることがあります。
身体の使い方やコミュニケーション、変化への対応などは、学習によって様子も変わってきます。
また、評価は年齢の低い子どもが対象となっていますので、年齢の高い人で"軽度(重度)"というのは、いつの時点で言われたものか、に注意する必要があります。

私が"軽度(重度)"という情報を意識しないようにしているのにも理由があります。
それは先入観によって、自閉症の人の行動を歪だ目で見てしまう恐れがあるからです。
例えば、重度の自閉症という角度から行動を見ると、すべての行動が自閉症の特性の影響を受けているように見えてくることがあります。
その行動の背景には、様々な理由があり、自閉症の特性以外にも性格や学習、認知の仕方などがあるのに、です。

支援者は自閉症の人の行動を客観的に見て評価し、支援を組み立てていくことが大切です。
一つひとつの行動や思考の強弱や頻度、どのような特性を持っているか、は支援を組み立てていく上で重要な要素となりますが、全体として軽度か、重度か、はあまり必要だと思っていません。
繰り返しになりますが、重要なのは自閉症の特性が個人の行動や思考にどのような影響を与えているか、という点になります。
この点を明らかにすることにより、個人に合った支援方法や学習の仕方が見えてくるためです。

"軽度(重度)"という言葉は、自閉症についてあまり詳しく知らない人に誤解を与えかねません。
軽度も、重度も自閉症には変わりはなく、ただその特性の外への表れ方が違うだけです。
重度だから大変で、軽度だから大丈夫ということはありません。
教育やサポートの必要な量が違うわけでもありません。
自閉症の特性によって生きづらさを感じ、本人に合った教育やサポートを必要していることには変わりないのです。
"軽度(重度)"という言葉が、結果的に自閉症の本人たちを苦しめることにならなければいいな、と私は思っています。


*過去に"知的障害"について思うことを書いた記事『知的障害の程度が子どもの未来を決めるわけではない』もよろしければ併せてご覧ください♪

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