真夏のジャンパー

夕方のだいたい同じ時間、ジャンパーを着た男性が家の前を通ります。
近所に福祉作業所がありますので、そこで働いている利用者さんかな、と思います。
いつも真っ赤な顔で、大粒の汗を拭いながら歩く姿に、"気候に合わせて服装を変える"ことは難しい、と感じています。

直接、そのジャンパーを着ている男性のことは知りませんので、ここからは想像で書きます。
真っ赤な顔で、汗も出ていることから、身体は暑さを感じているようです。
ちなみに自閉症の人の中には、感覚の違いから、暑さをあまり感じず、真夏でも汗をほとんどかかない人もいます。
また、暑いことはわかっていても、"暑い"と言った気持ちよりも、外出するときはジャンパーを着るものだ、というようなこだわりの方を優先させる人もいます。
そして、過去にジャンパーを着るように教えられた記憶が鮮明に残り、いつまでも記憶が消えていかないこと。
ジャンパーを着ることは教わったが、暑い日はジャンパーを着ないということを教わっていないこと。
ジャンパーを着る、着ないをどうやって判断していいかわからない、といったことなどが男性の行動の背景に考えられます。
独りで通勤されているようですし、作業所の職員はこんな気候ですので、ジャンパーを着ない方が良い、と伝えているはずです。
それでも毎日、ジャンパーを着ているということは、私たち定型発達の人たちが自然にできている"気候に合わせて服装を変える"ということが、彼らにとっては難しいことである、と言えます。

同じ気温だったとしても、人は暑く感じたり、寒く感じたりします。
例えば、気温が15度だったとします。
前日の気温が10度だった人は暑く感じ、前日が20度だった人は寒く感じます。
また住んでいる地域や季節、個人によって感じ方も変わります。
ちなみに私が旭川に住んでいるとき、冬の最高気温が0度になったら、みんな「今日は温かいね」と言っていました。

自閉症の人たちは、暑さや痛さなどの感じ方が定型発達の人とは違います。
具体的に物事を捉える人たちなので、抽象的な暑さなどの感覚を理解することが苦手です。
このような特性を持っている人が多いので、"気候に合わせて服装を変える"ことは、自然に身に付くことではありません。
「今日は暑いからジャンパーは着ない」というよりは、温度計や天気予報など、見て分かる具体的なものを示し、教えていく必要があります。

しかし、中には温度計や天気予報を見れない人もいると思います。
そのような人たちは、判断するということにサポートが必要であるということですので、支援者が代わりに判断すれば良いと思います。
また"こだわり"のようになっている人は、こだわり自体を無くすことは困難ですので、ジャンパー以外の部分の服装を涼しいものにすることや日傘を差す、首にアイスノンをつけるなど、こだわりの部分を残しつつ、他の部分で工夫することが良いと思います。

さすがに40度は超えませんが、函館も暑いので、ジャンパーを着て歩いている男性が体調を崩さないか心配です。

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