2020年2月14日金曜日

【No.1015】原始反射がなかなか卒業できない子は、触覚と固有覚を確認しましょう

数年前までは、発達相談でも原始反射の説明から始めていました。
しかし、近頃は、そんな説明をする必要はなく、多くの親御さんが「原始反射ですね。うちの子の場合は…」という具合に話がポンポンと進んでいきます。
ですから、以前は半日から1日くらいかけて行っていた発達相談も、今では半分くらいの時間で完了できるようになりました。


そもそも原始反射は、私のような教育系の大学や医療系の大学で学ぶものです。
なので、あまり一般的な知識、情報ではなかったのですが、多くの親御さんが知ることとなりました。
これは、花風社さんのお蔭だといえます。
2016年に出版された『人間脳を育てる』という書籍の中で、とてもわかりやすく、またポイントが押さえられて説明されています。
いろんなご家庭に訪問しますが、みなさん、本棚にこの本があるのを拝見します。
親御さんが、我が子の原始反射の統合を目指されるのなら、この1冊が手元にあれば、十分だといえます。


原始反射が普通に使われる言葉になり、各ご家庭で原始反射統合に向けた試みが行われています。
そうやって、家庭で原始反射を統合させていく方達がいる一方で、どうも、うまく育っていかない、卒業していかない、という方も中にはいらっしゃいます。
そんなご家庭に訪問し、エクササイズの方法を拝見しますと、「やりかた自体に問題があるわけではない。でも、なかなか統合しない」という場合があります。


その原因を突き止めるには、原始反射について、もう少し深く見ていく必要があります。
そもそも原始反射とは、いつから芽生えるものでしょうか、始まるものでしょうか?
それは、もちろん、胎児期であって、もう少し具体的に言えば、在胎10週頃と言われています。


「在胎10週」と聞いて、「だから、なんだ」となりそうですが、この在胎10週頃というのは、とても重要な意味が含まれています。
この時期に、触覚が出現するのです。
触覚が出現するから、原始反射が始まるのか、原始反射が出現するから、触覚が機能し始めるのかはわかりませんが、とにかく原始反射と触覚は相互作用にある、ということがわかります。


さらに私のウンチクが続いて申し訳ないのですが、出生後の原始反射の誘発には、触覚だけではなく、固有受容覚がちゃんと機能していることが必要となります。
たとえば、まだ歩けない赤ちゃんを縦にして立たせるような格好をさせると、まるで歩くように足を動かします。
これは、足の裏が床につくことがきっかけになりますが、足の裏に伝わってきた触覚刺激と筋肉から伝わってくる位置情報があってからこそ、誘発されるものです。
同じように足の裏を刺激すると出現するバビンスキー反射(足の指が開く)がありますが、違いは触覚刺激の場所と位置情報によるものです。


簡単に言えば、原始反射の統合には、それを誘発するために必要な触覚と固有覚の機能、発達が重要だということです。
どうしても、触覚に発達の遅れがあったり、重力との付き合い方がうまく育っていなかったりすると、原始反射を統合させる動きをしても、なかなか育っていきません。
「原始反射がなかなか統合されなくて…」と相談されるお子さんの多くは、触覚か、固有覚、もちろん、二つともの場合もありますが、こういった部分も確認する必要があると感じます。


原始反射を統合するエクササイズは、『人間脳を育てる』の中でも紹介されていますし、YouTubeなどでも検索すれば観ることができます。
エクササイズ自体は、そこまで難しいものはなく、親御さんが刺激することで統合されていくものもあります。
だからこそ、「なんで??」と悩まれる親御さんも少なからず出てくるのだと思います。


発達とは、誕生後のみを指すわけでも、そこから始まるわけでもありません。
発達とは、受精後、胎動を始める頃より、ずっと続いているのです。
私達が「発達」を捉えるときには、必ず胎児期からの連続として見る必要があるのです。
その一つが、原始反射であり、統合についてになります。


原始反射が残っていれば、統合するのは、大事な子育ての一つ。
でも、その前に、「触覚はちゃんと育っているかな」「重力との付き合い方は、ちゃんとできているかな」という視点をもって、胎児期からの流れで発達を捉えられると良いかと思います。


こうして考えると、原始反射が統合されていない状態のお子さんというのは、"触覚の未発達"、"固有覚の発達の遅れ"があるから「残っているんだ」「今も、生後一年以上たっても原始反射が残っているんだ」といえるかもしれません。
原始反射の統合を目指されているご家族のヒントになれば、幸いです。

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