2018年5月6日日曜日

支援者の中に答えはない

誰しも、「自分の育て方が良かったのだろうか」と立ち止まり、悩むことがあります。
そんなとき、自分のもがき苦しむ姿を感じ、「ああ、自分は親なんだ」と認識するのだといえます。
子のために、もがくから人は親になり、他人の子のために、もがくから先生は教師になる。
ただ食事の用意をし、寝る場所を確保するのみでは、共に生活する者。
ただ知識の伝達をするのみでは、先に生きる者。
他人のために、もがき苦しむくらい悩むからこそ、親は親になり、教師は教師になる。
だから、もがき苦しむ姿を見て、他人が余計な手を出してはならないのです。


こういった仕事をしていますと、「こんな風にやってみたんですけど、合ってますか?」と尋ねられることがあります。
「子育てに正解、不正解がある」
「その正解、不正解を他人が持っている」
「支援者、専門家は、親の自分が知らない答えを知っている」
そんな風に思う時点で、いろんなことを想像してしまいます。


支援者の中には、親御さんに子育てではなく、支援を求める人がいます。
「こういった支援が必要です」
「この方法を使って教えれば、理解できます」
その言葉を信じ、一生懸命支援者の示す支援を行う親御さん達。
でも、支援は発達の根本にアプローチするわけではありませんので、なかなか良い結果が出ません。
そうすると、親御さんは落ち込みます。
「私の支援が悪かった」
「私の理解が足りなかった」
「だって、支援者が言うには、ちゃんと支援すれば良くなるって言ってたから」


支援者の中には、支援を通して親御さんと本人をコントロールする傾向があります。
それは支援者の持つ愛着の課題と、支援を受け続けることで儲かる仕組みがあるからです。
インチキ宗教と一緒で、結果が出ようが、出まいが、自分の示す支援をやってくれれば、それでいい。
良いことが起きれば、「それは一生懸命お祈りしたから」で、悪いことが続けば、「まだまだ信仰心が足りない」というやつです。


支援者の示す支援をやってみて上手くいけば、「ほら、私の言った支援をしたからでしょ」となり、親御さんはどんどんその支援者、支援に傾倒していくようになる。
反対に上手くいかなければ、「ほら、やり方が合っていないからだ」「もっと勉強しなきゃ」となり、講演会や研修会へ導かれ、必死に結果を出そうと傾倒していくようになる。
だから、結果はどっちに転んでも良いのです。
こうやって、知らず知らずのうちに「子育てに正解、不正解があって、支援者がそれを知っている」という思考が築き上げられていく。
「そもそもその支援方法自体が合っていない」という選択肢を隠してあるところがミソです。


ちなみに支援者バージョンの洗脳が、ライセンス制度です。
「〇〇療法をきちんと習得するには、講習に参加が必要です」
講習に参加したあと、実践でうまくいければ、「やっぱり資格を取ったからだ」となる。
で、うまくいかなければ、「レベル2も取りましょう」「はい、わかりました」となる。
これの繰り返し。
洗脳する側の支援者は、資格の名前を変えるのと、研修の内容を少し変えるのをやるだけ。
喰いつく人を集めれば、あとは勝手に洗脳されていくので、人を集めがメインになります。
ですから、洗脳系ビジネスの教祖様はFacebookの友達の数が千人単位。


私に答えを訊いてくる親御さんというのは、支援者の洗脳を受けた人が多いといえます。
また親御さん自体に、洗脳を受けやすい器質があります。
子どもが親の顔を伺うように、支援者の顔を伺っている。
顔を伺うのは、誕生後すぐの子どもにとっては大事な生存戦略。
でも、その生存戦略を残したまま、大人になっている。
自らの足で行動し、自らの意思で選択していく経験が乏しかった雰囲気を感じます。
こうなると、子を育てる不安、さらに発達障害を持っているという不安が、支援者への傾倒、支援への傾倒を後押ししてしまいます。


支援者に答えを求めている状態では、子どもはより良く育っていきません。
何故なら、子どもの顔よりも、支援者の顔をよく見るようになるからです。
テストの答えのように、子育ての方法は一つではありません。
子どもは生きていて、常に活動し、成長しています。
その時々で、より良い方法は違うのです。
ですから、親御さんに求められるのは、しっかり子どもを見ることであり、その変化に注目すること。
支援者の顔を見ている間に、ある意味、別の子に変わっているといえます。
週に1回、月に1回の支援者に、その変化は見えていませんし、変化した瞬間、アプローチを変えることはできません。


支援者の口から出たアイディアが、家につく頃には合わなくなっていることさえあります。
だからこそ、親御さんがそのときの子どもさんの姿に合わせて子育ての仕方を変えられることが大事なのです。
そのためには、支援者から受けた洗脳を解く必要がありますし、親御さん自身に主体性を持ってもらう必要があります。
赤ちゃん時代の生存戦略からの脱却、発達です。


子育ての善し悪しとは、結果論だと思います。
他人が子どもの成長する姿を外から見て、良い悪いと言っているにすぎません。
それに第一、子どもの内側には自らを発達させ、伸ばす力があります。
子どもの持てる力を発揮できるような環境作りと後押しが、ヒトの子育てだといえます。


子どもが伸び伸びと成長している親御さんというのは、子どもさんの顔を誰よりもよく見ている親御さんです。
「子どもの中に真実がある」といった信念も感じます。
問題が起きれば支援者を頼りたくなるのもわかります。
でも、治せる支援者は、結局、その子の中に真実を見ようとします。
ノウハウや経験、知識を内側にたくさん持っていたとしても、その子の内なる声に耳を傾けなければ、治すことはできません。


支援者が自らの手の中に答えがあるように見せるのは洗脳です。
本物の支援者は、子どもさんのどこを見ているかを伝え、親御さん自身に真実の見つけ方を教える支援者のことを言うのだと思います。
そして、親御さんが子のために、もがき苦しむ時間を奪うことなく、大切にする。
親が親になり、対処ではなく、じっくり子育てが行えるようになる時間を待つ人なのです。

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