"不登校"を自閉症の視点から読み解く

「学校に行かせた方が良いですか?」
「学校を休ませたら、まずいですか?」
と、不登校状態のお子さんを持つ親御さんから尋ねられることがあります。

私は"不登校"に関しては、経験も浅く、専門ではありません。
ですから、自閉症、発達障害を持つ方たちの支援者として、いつもコメントさせていただいています。

もし学校生活の中で傷ついたり、辛い思いをしているのなら、学校に行くべきではない、と考えています。
何故なら、自閉症の人たちは「忘れられない脳」を持っているので、ネガティブな体験をした場所に行き続けることは、彼らの傷をさらに深いものにし、心身の回復を遅らせるからです。

自閉症の人たちの脳の特性を考慮すると、ネガティブな場所や状況からは遠ざかることが支援の方向性になります。
よく辛い状況であっても「慣れさせる」など、という支援を選択する人もいるのですが、それは定型発達の脳の人への支援の1つでしかありません。
自閉症の人の場合は"慣れる"のではなく、"辛い思いをし続ける"ことになるため、このような支援は適切ではありません。

私自身、学ぶ場所は"学校"でなくてはいけないことはない、と考えています。
しかし、だからといって「学校は行かなくていいですよ」とは言えません。
それは、学校に行かなくなった場合の"学び"の保証がされていないことが多いからです。

傷ついた場所から遠ざかることは大切です。
でも、遠ざかっているだけで代わりとなる"学び"がなければ、そのことも子どもにとっては不幸なことだといえます。
子ども時代の"学び"は、どのような子どもにとっても大切です。

この他にも自閉症の特性である"社会性の違い"、"想像性の違い"から、自己流のルールややり方で空白になった時間を埋めていったり、学校を休むことを別のメッセージとして受け取ってしまったりするという懸念もあります。

自閉症を専門にしている立場から"不登校"を読み解くと、このような見解になります。

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